□Harry Potter□
□第十二章:スクール・ライズ
1ページ/4ページ
人それぞれ心の鍵穴がある。ただ、心を開く鍵を持っているのは本人ではない。
ここで問題なのは、誰が鍵を持っているかだ。
−第十二章−
新学期早々、大広間で脱力感に襲われるジョージの姿があった。
黒いローブは彼の心を示しているのかのようで、この日はやたら重く感じられる。
彼の目の前には、友達と楽しく会話をして笑っているリナの姿がある。
どこのティーンエイジャーと変わらない女の子のはずだが、どこか大人びていてミステリアスな部分を秘めている。
恋愛には無頓着なジョージでさえ気が付いていた。
ふと視線を感じたリナは遠くでこちらを見るジョージに目を留めた。そして口元だけ笑ってみせて顔を逸らす。
そんな彼女の態度にジョージは苛ついていた。
どこでもお高く留まっていて、余裕な表情を浮かべているからだ。いつでも自分が優位に立っていると言いたげな顔だ。
それなのに、ジョージにはどこか胸がざわつく思いがあった。
『ねぇ、さっきからあのウィーズリーの双子がこっち見てるんだけど…』
視線を感じていた友人のカースティンはリナにそっと告げると、リナは得意気に笑う。
『私、あの2人だけはどうも苦手』とカースティンは話していた。
意地の悪い悪戯ばかりしている双子に嫌気がしている様子だった。
「彼らと話したことは?」
首を傾げながらリナは尋ねる。
『これからも話すこともないと思う』と笑って答えるカースティンにリナは目を細めて笑った。
「そう言ってるけど、彼が気になるんでしょ?」
『そんな訳ないって!』
カースティンは大声をあげて笑い飛ばす様子にリナは笑いながら目を伏せた。