黒子のバスケ

□届かない、届けたい
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でもさ、こんな時ってどうしたらいいの?;;
何か話す?何かって何?
趣味とか?特技とか?…いや自己紹介じゃないんだから!!
あー…どうしよう;;
とにかく何か話そうと思って口を開いた時…


「あ、そうだ。
 ごめん名字さん、言うの忘れてたんだけど…」


そう言いながら高尾くんがポケットから出した物は、私がいつもかけている黒縁のメガネだった。


「ボールがあたった衝撃で壊れたみたいなんだよね…;;」

『あ、ほんとだ。歪んでる…』

「ごめん!!!弁償するから!!」


立ち止まって頭を下げる高尾くん。


『え、あーいいよ;;
 そのメガネどうせ伊達だから…』

「…へ?そうなの?」

『うん、なんか高校入る前にお兄ちゃんが、絶対これ掛けとけってうるさくて…
 しょうがなく掛けてただけなの;』

「そうなんだ」

『うん、だからいいよ』


そう言って高尾くんを安心させるように、私は精一杯笑って見せた。
だって、高尾くんが謝る所見たくなかったんだもん。


(あ…ヤバ……超可愛い……///)

『高尾くん?どうしたの?』

「ぇ?あ、あぁなんでもない///
 じゃあさ、お詫びに今度何か奢らせて?」

『え、それじゃ一緒なんじゃ……』

「ん?そうか?
 ま、いいじゃん!ね?」

『う、うん』


それからは高尾くんがバスケ部の先輩のこととか、変人の相棒のこととか…たくさん話してくれた。
そのせいか、いつもは長く感じるこの帰り道も今日はひどく短く感じた。
それが何故か無性に寂しかった…。


『送ってくれてありがとう、高尾くん』

「いいって!
 あ、ボールあたったとこ念のため冷やしとけよ?」

『うん、わかった』

「んじゃまた明日学校でな!」

『うん、また明日』


また明日…か。
明日になったらきっと今まで通り見ていることしか出来ないんだろうな……。

ちょっと……寂しいな…。
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