黒子のバスケ

□嫉妬
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「名前っち〜!!」

『きゃあッ!!』

「おはよ!名前っち!」


彼は黄瀬涼太。キセキの世代と呼ばれる一人で、海常高校バスケ部のエース。
しかもモデルをやっている超イケメンだ。
そんな彼は私の彼氏でもある。


『黄瀬君!急に抱き付かないでって何度も言ってるでしょ?!』

「だって名前っちが可愛いからつい…」

『もう…///そんなこと言っても許してあげないんだから』

「ごめんっス、名前っち。怒んないで下さいっス〜;;」


黄瀬君は毎朝場所も構わず私に抱きついてくる。
恥ずかしいからやめてって何度も言ってるのに聞いてくれない…。


『……明日はしないでね?』

「!はいっス!」


でも私はいつでもすぐに許してしまう。
イケメンスマイルでおはようって言われたり、拗ねたフリをする私に泣きついてきたりする姿が可愛くて、怒る気なんて削がれてしまうのだ。
今だって満面の笑みをする黄瀬君に"明日もされて良いかも"なんて思ってしまう私は、相当彼に惚れてしまっているようだ。


「じゃあまた昼休みに迎えに来るっスね!」

『うん、後でね』


そう言って教室の前で別れる。
黄瀬君と私は隣のクラスなのだ。
いつも昼休みは二人で屋上に言ってご飯を食べる。
今日もいつも通り授業を受け、四限終了のチャイムが鳴った。

いつもならチャイムのすぐ後に、あの人懐っこい笑顔で教室に飛び込んで来るはずの黄瀬君が今日は来ない…。


『どうしたのかな…?』


不思議に思い、黄瀬君の教室を覗いてみたがそこに黄瀬君の姿はなかった。


『先に行っちゃったのかな…?』


いつもの習慣を忘れたりするか?と思いつつも一人で屋上に向かった。
でもやっぱり屋上にも黄瀬君はいなくて…。


『どこ…行ったのかな?』


一人で先に食べるのも気が引けて黄瀬君を探すため廊下を歩いていると、ふと窓から見慣れた黄色が見えた。


『あ、いた。中庭なんかで何してるのかな?』


窓を開け覗いてみると、どうやら黄瀬君は一人ではないらしい。
背の低い可愛らしい女の子が顔を赤くしながら必死に何かを話していた。
何を話しているのかは聞こえないが大体予想はつく。
あれは………告白だ。

黄瀬君がモテるのは知っていたし、何度も告白されてたのも知っていた。
だって黄瀬君はモデルで、カッコよくて、バスケ部のエースなんだもん。
そんな彼を好きになったのは私だ。
こんなことで嫉妬なんてしない。
告白されても、女の子に囲まれても、黄瀬君はいつも私を選んでくれた。
だから大丈夫…。

でも、今回は何か変だ。
いつもはすぐに終わる告白タイムも今日は少し長い……。


『ぇ……………』


私は目を疑った。
だって目の前には二人が抱き合っているのが見えて…黄瀬君の腕はしっかりとその女の子の背中に回っていて……。
しかもその女の子は黄瀬君にキスを……。

私はもう見ていられなくて走り出した。

 
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