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□髪の毛
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「長くなったね。」
名無しさんが俺の髪を指に巻きつけて遊ぶ。
俺は名無しさんの好きなようにさせてやる。名無しさんは昔から俺の髪で遊ぶのが好きだったからもう慣れてしまっている。
「巻島みたいに綺麗な髪だったら伸ばしたくなるよねー。」
ちょっと拗ねたように、名無しさんは言った。
「伸ばせばいいッショ。」
名無しさんが髪を伸ばしたところも見てみたいっショ
と続ければ名無しさんはチッチッチ、と指をふった。
「なんショ?」
「分かってないなぁ、巻島くぅん。」
名無しさんは俺の髪に指を通した。
って、顔近いっショ
「私は貴方の髪が好きなわけで、私の髪は好きじゃないの。
私は私の好きなもののためなら喜んで引き立て役に回るわ。」
ニッコリと、笑った。
引き立て役なんて、そんな。
言おうとした言葉は彼女の唇に奪われて。
「私の髪だって負けてない。
でも、私は個性豊かな貴方の髪が好き。」
なんて言葉を返せばいいのか分からなくなって、言われなくても顔が赤い事くらいわかる。
嗚呼、余裕に笑うその顔を俺より赤くすることはできないのか。
いや、知ってる。
「顔真っ赤。」
「うるさいっショ」
その減らず口を舐めてからキスしてやれば、ホラ。