進撃の巨人連載

□4 明かされた真実
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 休暇も任務もこなしたあとで今更な感じがするけれど、アニの共犯者を疑って私たちは装備も何もないまま建物の中に缶詰にされていた。

別にそういう風に言われたわけではないけれどおそらくそうに違いない。

そしてその日のうちにウォールローゼが南からやってきた巨人により突破された。

数日前までライナーとデートしたり、みんなでかくれんぼをした休息が嘘のようだ。

そして色々あったけれどなんとか夜にはウトガルド城跡に到着。

私たちはようやくゆっくり出来ると思って、一息ついた。


――のに、ここの巨人は夜でも動き回ることが出来るみたいだった。

ここまではもうそうそう簡単におどろいたりはしなくなった私ならなんとか平常心でいられたけれど…今この状況は非常にまずい。


「ど、どどどどどうすんの…」

「お、おちつけ!」

「お前がおちつけコニー!」

「だってよ!もう巨人が扉を突破したんだぞ!」

「うっそぉ!勘弁してよもう!」

「おちつけったら!」


ライナーに肩を持たれて、私は我に返った。

そうだ、ここで焦っても餌食になるだけ…。


「とりあえず、俺が様子を見てくる」


ライナーはそういうと引き留めるまもなくたいまつ片手にいってしまった。

私たちもそれぞれの扉や窓から様子をうかがう。

と、螺旋階段の下から扉を閉める大きな音が響いてきた。

ライナーが閉めた?…としたら…


「螺旋階段の下に巨人が…なにかない!?」

「おいあっちに大砲があるぞ!」

「玉がないじゃない!」

「落とせば相当の破壊力だ、これもってくぞ!」


急がないと、いくらライナーでも丸腰で巨人になんか勝てない。

私は急いで大砲を押した。そしてそのよこを、ベルトルトがおちるように駆け下りていった。


「ベル!」

「ライナー!」


次の瞬間巨人が苦しみに暴れる音が聞こえてくる。


「ベルトルト、生き延びるぞ!そして…故郷に帰る!」

「ああ…帰ろう!」

「ライナー、ベル!早くこっちに!」


二人を誘導して、上から大砲を落とせば巨人は倒れた。

――と、次の瞬間私は何かに押されてよろめき、壁に背を付いた。


「っらいな…!」


眼前には巨人がいて、ライナーの腕に噛みついていた。

もしかして…私を庇って…!


「おらぁああ!」


ライナーはそのまま巨人を窓まで押しつけて、縁に足をかけた。

まさか…


「や、やめてライナー!」

「こうするしかっ…」

巨人と飛び降りたら、そんなの…!

「っ刃物!なにか刃物!」

「そ、それなら俺のナイフが!」


コニーが思い出したように叫ぶとライナーに駆け寄り、巨人の顎顎の筋肉をそいだ。

それをユミルが蹴落とした。


「ライナー!」

「っつ…」


腕に触れようとして、やめた。

巨人の力は相当強かったみたいで外傷だけで骨が折れているのが分かった。

こんな…こんな状況で、私のせいで…


「おい、気にするなカヤ」

「嫌だよ気にする!」


せめて応急措置だけでも…。

辺りを見回すと農業用の道具が多数有った。

私はその一つを選んで柄を折って、折り目のギザギザしたところを壁にすりつけてなるべく平らにした。

クリスタにそれをもってもらってからスカートの裾を破る。

今日ロングスカートで本当に助かった。それから折った柄を添えてライナーの腕を肩からつるした。


「ごめん、これしかできないけど…」

「いや…」

「…どうしたの私のことガン見して」

「なんでもない。ありがとう(こんな状況下でちょっと色っぽいとか絶対に言えないな)」


でも、ほっとしたのもつかの間。

次の襲撃が城をおそった。なんと馬やら岩が飛んできたのだ。

上からやられていく兵士を見ていることしかできないのは、歯がゆい。

そしていつ捕食されるか分からない恐怖が私たちを襲った。

思わず目をそらすと、その先でユミルが立ち上がるのが見えた。


「ユミル?」

「コニー、ナイフ貸せ」


壁から飛び降りていったユミルに驚いたけれど、飛び降りていったことよりも飛び降りていったユミルが巨人に変身したことの方が、私を驚かせた。

「ユミル…!?」



***



巨人になったユミルは大勢の巨人に押されていたものの、クリスタの叫びで持ちこたえていた。

私は、驚くほど平然としてそれを見ていた。いや、それどころか他のことを考えていた。やっぱり、鎧の巨人の中にも誰かがいるのだと。

それは、誰なんだろう。もしかして――いや、そんなわけない、か。

都合のいい解釈だ。

そして私たちは巨人化したユミルの頭に捕まって、なんとか帰還することが出来た。

そのとき私は、ライナーにもっとマシな治療が出来るんじゃないかと医療道具をあさって歩いていた。

とりあえず壁の内側にいれば急に巨人が来ることもないので、今が緊急事態だとは分かっていたけれどライナーの傷を放っておくことが嫌だった。

それなのに、それはあまりに突然に現れた。

巨人がいたのだ。

それもとびきり大きい…


「超大型…巨…人…!?」


しかもヤツがいるのは壁の上で…ライナー…ベル!

私は走り出す。

間に合わなかったら、二人が死んじゃったらどうしよう!壁内の兵士達にハンジ分隊長の指示が下される。


「ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーが巨人化した!奴らは巨人だった!」

「躊躇するな!一気にかかれぇ!」

「え……」


走り出した足が、止まった。

何を言っているんだろう、この人。


走りながら叫ぶ兵士は立ち止まる私に罵声を浴びせる。



ライナーが…ベルが…巨人…?




後書き
とにかく飛ばしました
読みにくかったかと思います、すみません

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