イナイレ長編
□9 目金、立つ!中
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試合当日。
秋葉名戸学園に着いたあたしたちはロッカールームに通された。
いままでトップはってた豪炎寺もいないし、なんだかここ数日みんなの練習は微妙で(というのも、みんなはあたしがメイド喫茶から帰ったあと秋葉名戸の選手にあったらしいのだけど、それがあまりに弱そうなので気が抜けてしまったようなのだ)じゃっかん不安だけどここまで来るとそうは言えない。
あたしは今日もベンチスタートだからみんなに任せるしかないわけだし。
みんながロッカールームで着替えている間外で待っていると、メイド服の女の子がこちらにやってきた。
またメイドか。
「あなたは選手ですか?」
「いや?今日は出場予定はないけど…」
「では!こちらへ!」
「え?え?ちょっ…ま、守ちょっと行ってるね!」
ロッカールームからくぐもった声で返事が返ってきた。
あたしはよくわからないままそのこにつれられて更衣室に押し込まれてしまった。
「うわっ、なになになんなの!?」
「この学園の試合では、試合に出ない女子生徒はこれを着ることになっておりますので。では!」
押しつけられるように渡されたそれは…まさかのメイド服でした。
「カヤちゃんも…?」
「あれ。アキと春奈と夏未…」
「私たちもわたされちゃって」
「そりゃあ災難だ…あれ、夏未?気を確かに!」
「あり得ないわ…こんなのはありえないわ…」
お嬢様放心してるわ。
まぁこの前までメイド喫茶も分からなかったんだから無理もないけど。
仕方ないので、ここはむしろ楽しんでいこうと思う。
「へいそこのご主人様!」
「カヤ!?」
着替え終わって外に出ると、ちょうど守達がでてきたところだったので声をかけた。
守は素っ頓狂な声を上げて一歩後ずさった。
なぜ後ずさりしたこの野郎。
「どう?似合ってますかご主人様〜」
「やめろカヤ、俺今日ゴール外しそうだ…」
「ひっどいな竜吾は」
「もっもえ〜〜〜!!目線こっちにお願いなんだな!」
と、そこに秋葉名戸の選手も出てきてあたし達は取り囲まれてしまった。
うわなにこれむさい。
てかやめてなんかその目でみたらきゃわいい春奈とアキとお嬢様が汚れそう!(←ひどい)
「あん?てめぇ誰の写真取ろうとしてんじゃこら!しばくぞ!」
「きたぁ〜!ドSメイドちゃん!ツンデレもえですなぁ!」
「デレはないから安心しな!」
気迫でおいはらったら、「これが…準決勝の相手か…」って豪炎寺がつぶやいた。
「おいそこのシスコンご主人様!」
「しすこっ!?」
「油断禁物ですからね」
「あ、ああ…」
すげぇなこの格好。みんなを黙らせることが出来るなんて。
「で、今日豪炎寺の替わりはだれにしたわけ?」
「僕です!」
みんなの影からメガネを光らせて出てきたのは、なんとまさかの目金だった。
大丈夫かコイツ。
「な、なんですかその信用にかけた目は!」
「当然でしょうが」
「まぁまぁ、今日はこいつもやる気あるみたいだからさ!
今日は俺と二人きり、ベンチで楽しくやろうぜ〜」
「土門君なんかいやらしいよ…」
「アキひどいぜ…」
***
<ここで前半のホイッスル!秋葉名戸学園、ここまで自陣に引いて守りに徹し、まったく動く気配はありませんでした!>
前半、あっという間に終わってしまった。
前半の秋葉名戸のうごきは本当に遊んでいるかのようで、それなのにボールがとれないという非常にうざったらしいものであった。
いちいちアニメの必殺技を叫んだりしてきて、あたしも調子が狂ってしまう。
悔しいけれどちょっと笑った。
ちょ、ちょっとだけだからね!
しかもハーフタイムまでゲームしやがってあいつら…
<さぁ、まもなく後半が始まります!>
結局なんの対策も練れないままにハーフタイムが終了してしまった。
そして後半ホイッスルの音が吹かれると向こうの動きが変わった。
変わったというか、動き出したのだ。
「ありゃあ、前半に体力温存ってことか」
「どんだけ体力ないのよ」
「お、なんか来るぞ!」
「変身!フェイクボール!」
…あれ。
なんかマックスのもっていたボールがスイカに変わった!
しかも、もじゃもじゃヘアーの選手がもう一人の足をつかんで、バットのように振り上げた。
「ド根性バットーーー!」
「まんまだー!しかも顔面でうつの!?しかもゴールしちゃったんだけど!?」
ど、どうなってんのこのチームは…
「竜吾!あのふざけた学校にいっぱつくらわせてやれー!」
「おう!ドラゴンクラーッシュ!」
へっへっへ、この威力のシュート、簡単に防げると思うな…よ…
「いくぞ!ご・り・む・ちゅー!」
ご、五里霧中!?
またふざけたことしやがる!
奴らは足をばたつかせて砂埃でゴールを見えなくした。
そんなんで竜吾のシュートがはずれるわけないだろう!
なのに、砂埃が止んだあと、ボールはゴールをはずれていた。
そのあともみんなはシュートを連発するけれど、ことごとくはずれてしまっている。
いくらなんでもこれはおかしくない?
尾刈斗中の時みたいな催眠術を使っている様子もないし…。
「なぁカヤ、なんで向こうのキーパーあんな息あがってんだろうな」
「え?…すごく体力ないんじゃない?」
「なさすぎだろ…」
「にしても後半もあと少しだ…」
どうする…こんなだらけた学校に負けていいわけ…?
どうすればいいの…!?