イナイレ長編
□9 目金、立つ!上
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御影専農中途の試合が終わった次の日、検査から帰ってきた豪炎寺は、準決勝には出られないと言った。
それは本当に残念だけど、きっと一番残念なのか彼本人だろうなぁ。
せっかく新しい技(秘伝書に寄ればイナズマ一号というらしい)も出来たのになぁと悲観するみんなに飛鳥が「豪炎寺がいなくったって、お前らなら大丈夫だろ?いざとなれば俺が出れるしな」って言ってくれたので、みんなも気合いが入った。
ナイス飛鳥!
そして今私たちは次の対戦相手を知るために部室に集まって会議中である。
「で、みんな次の相手はどこなの?」
「次は、秋葉名戸学園よ」
アキが手元のデータ表を見ながら言った。
しゅうよーめいど?
そんなの有ったっけ。
「このチームは大会中歳弱の呼び名も高いけれど、尾刈斗中にも勝っているみたい」
「あの尾刈斗にか?」
「うん。選手は成績優秀でマニアックな生徒が多いみたい。それで――」
アキが言葉を切った。
ちょっぴり顔が赤いので何事かと思ってメモをのぞき込むと、あり得ないことがかかれていた。
「試合前でもメイド喫茶に入り浸ってる…だとぉ!?」
「めっ、メイド喫茶ですとぉ!?」
突如、目金が声を上げた。
え、なにお前さっきまで興味なさそうに座ってたくせに。
お嬢様なんかメイド喫茶がなんだか分からないみたいで顔をしかめている。
「それにしてもよくそんなんでここまでこれたね」
「そんなチームなら次は楽勝でヤンスね」
「あんたら聞いてなかったの?尾刈斗に勝ったって言ってたこと」
「でも俺たちは尾刈斗中にも勝ったじゃないか」
「ほぅらすぐ調子乗る馬鹿どもめ」
「口がわりぃぞカヤ」
「そういう竜吾が一番心配」
「なにぃ!」
「とにかく!」
口論をはじめそうになるあたしと竜吾の間に、目金が割って入ってきた。
「行ってみるしかないですね…メイド喫茶に!」
「ばかじゃねぇのお前」
「馬鹿ではありません!これは立派な情報収集です!!」
こいつ、ただメイド喫茶に行きたいだけじゃね?
「って、なによみんな顔赤くしちゃって!あほらし!帰る!」
とはいったものの、結局あたしはみんなに引きずられてついて行くことになってしまった。
嫌だよ一応女子なんだよあたしは!確実に浮くからね!
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
ほらだってお帰りなさいの時点でおかしいからね!
「うううっ…」
「ほらいくぞカヤ」
「まっ、まもるぅ〜〜〜」
勘弁してくれー!
店内はそれはそれはふりふりのレースがたくさんで、とても学生の来るところにも見えない。
いるだけで窒息しそうだ!
「こっ、こうきたらさっさと注文して…」
ってなんじゃこのメニューは!
「りゅっ、竜吾先たのみなよ!」
「あ?じゃあ……………」
「ご注文はどうなさいますか?ご主人様」
「………」
「ああやばい竜吾が蒸発しそ!」
「しっかりしろ染岡ー!」
「竜吾、お前の敵はあたしが取る…すみませんいいですか」
「はいお嬢様!」
「うっ…」
おちつけあたし!
「ピンクのときめきミルクティー愛しの君ジャスミンティーメイドさんと一緒どきどきハーブティーぎゅぎゅっとしぼりだすオレンジジュース寝起きのご主人様お目覚めコーヒィィィイイ!!」
「一つずつでよろしいでしょうか?」
「はい!」
「かしこまりましたぁ!」
ふっふっふ、みたかこれが女子力だ!(なんかちがう)
***
なんかもうあほらしかったので、結局あたしはみんなが恥ずかしがって注文するのをじっくり観察してから先に帰ることにした。
なんか甘いもの飲み過ぎて気持ち悪くなったし。
いつもの練習場までくると、先客がいた。
だれかと思ったけれどすぐに分かった。
あれは、鬼道だ。
あんな変質者みたいなのほかにいないもの。
でもなんでこんなところに…?
「有ちゃーん!」
「…紺野カヤ…」
「なに、もしかして偵察?」
「……」
「あれ、もしかするかんじ?」
「いや、こんなチームを偵察する意味はない」
「あらそ、そりゃ残念」
有ちゃんは黙ったまま、夕焼けを見ていた。
レンズに映る夕焼けがまぶしいなぁ。
なんか、見たいな有ちゃんの瞳。
「ねぇ、めんたま見せてよ」
「なんだ急に。それに言い方が物騒だ」
「ねーねー赤いめんたまみせてー」
「あかいめんたま…って、なぜお前がそれを知っている」
「え?ほんとに赤いの?」
「っ…」
「えー!ますます見たい!」
「よせ!ゴーグルを引っ張るな!」
「あたしの下着見せてあげても良いからめんたまみせろー!」
「そんなものは見たくない!」
ちぇっ、つまんねぇの
「くそ、お前といると気が休まらん。俺は帰る」
「あー、ちょっと有ちゃーん」
あーあ、帰っちゃったよ。なんだったんだろ。