イナイレ長編

□8 恐怖のサッカーサイボーグ!番外
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帰りのバスで、あたしは守の隣に座って外を眺めていた。

激戦のあとでみんなもヘトヘト…とおもいきや、勝てたことに盛り上がって騒いでいるのであたしも眠くはならなかった。

そんなお祭り騒ぎの中、不意に風丸かが言った。


「そういえば紺野、どうしてさっきサッカーが怖いなんていいだしたんだ?」


それをきくとみんなは火がついたように一斉にその話題に飛びついてきた。

めんどくさいことしやがったな風丸め。

でも、みんなには話すべきだよね。

今日迷惑かけちゃったし。

それに今ならばこの話をしてもあまり苦ではないような、そんな気がした。


「…あたしはさ」

「大丈夫なのか?」

「うん、気にしないで。むしろあんたは自分の足を心配しなさい豪炎寺」


気にかけてくれた豪炎寺に言って、こちらをみている守にも笑いかけた。

あたしは一番前の座席にいたから後ろ向きで座席の上に膝立ちした。


「あたし、兄ちゃんが死んだの」

「死んだでヤンスか!?」

「うん。あたしの兄ちゃんは、海外で活躍するサッカー選手だったの。

ポジションはGK。

だけどあたしが応援に行ったある日の試合で、相手FWの超次元技が頭にぶつかって、そのまま…」

「な…なんていうか…」

「ああ、別に変な空気はいらないからね」


最初に声を上げた風丸が意味のない責任を感じてしまったみたいなので先に断っておく。


「あたしはそれからサッカーが怖くなって、守とも雷門中のサッカー部に入部しようって約束したのに、出来なかった。でも守はあたしのこと待っていてくれた。

だからあの帝国戦で、守がいいようにやられてるの見て我慢できなくなって、グラウンドに立った。

守までいなくなるような気がして怖かったけど、怖がってるくらいなら自分が救った方がいいんじゃないかって気が付いた。

あのときで、あたしはもう全部克服できたんだと思ったんだけど…今日の試合でそうじゃないって気づかされた。

迷惑かけて、ゴメンね」


結局あたしは、円堂守という絶対的リーダーに支えられていただけだった。


「てめぇ…俺は許さねぇぞ」

「竜吾…」

「なんで今までそんな大事なこと黙ってやがった!」


一番後ろの座席にいた竜吾が立ち上がって大声で言った。

そこで急ブレーキがかかって竜吾はまた座席に戻されて、それを見たみんなが笑った。


「竜吾だっさ」

「うるせぇ!とにかく、許さねぇからな!」

「だってなかなかそういう機会無かったし…やっぱ話すのもこわかったんだよ、無意識だけど」

「でも…今はちげぇんだな?」


不服そうに足を組む竜吾に、うんって頷いたらいつものいじわるな笑みを返してくれた。

他のみんなも頷いてくれた。


「ありがと。あたしはよわっちぃから…」

「カヤさんは、弱くないよ」

「アキ…?」

「私にも、似たような体験があるから気持ち
分かるよ」

「…アキ…」


アキは、今はまだみんなの前では話せないという顔でそういった。

知らなかった。同じような苦しみを持つ人がまた、もう一人いたなんて。


「とっ、とにかくそういうわけで迷惑かけたけど!これからまた、頑張るから!」

なんかちょっと恥ずかしくなったから投げやりにそういって座席に戻った。

少しの間静かな時間があったけれどだんだんバスの空気はいつもみたいに戻っていった。

よかった。

みんな受け入れてくれて。

こんなことならさっさと話しちゃえばよかったのに。


「カヤ」

「なぁに守」

「俺、今お前と一緒にサッカーやれてすげぇうれしいよ!」

「うん。あたしも守と…みんなとサッカーできて楽しい!」


その言葉には、一つの偽りもなく…






後書き
や、やっと御影おわった…!
夢主ちゃん試合初出場です!

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