イナイレ長編
□6 これがイナズマ落としだ!下
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<さぁ、エンドが変わって後半…野生中のキックオフで試合開始です!>
煮え切らないまま、後半戦が開始した。
「守きてるよ!」
「熱血パンチ!」
ボールをはじいた守の拳も、短時間冷やしたくらいではどうにもならない…。
「痛くなんか…ない!豪炎寺、壁山ぁ!」
一方の壁山は、もう諦めて膝を突いていた。
豪炎寺が一人で上がるけれどあの鶏男にはやっぱりかなわない。
「壁山!壁山立てよみっともない!」
「俺には…俺には…」
ねぇ、なんで伝わらないの?あ
たしじゃ役不足か?
とうとう励ましの言葉も言い尽くして悪態しかつけなくなったあたしは、壁山と同じようにうつむいた。
だけど誰かの手があたしを髪を引っ張って、上を向かせた。
「カヤ」
「竜吾…?」
「そのまま声かけ続けろ。言いたいこといっちまえよ。
励ましでも悪態でも文句でもかまわねぇ」
いいたいこと?諦めるなって?
でも、諦めるなって、今思えばわりと抽象的な言葉なのかな。
なんで諦めたらいけないのか。それを、伝えるべき…?
「――っ壁山…!あたし分かるよ怖いって言う気持ち!
だけどあたしは守の言葉に救われてきて、守の姿を見てあの日フィールドに立った!
怖かったけど、後ろに守がいるって思ったら大丈夫だったんだよ!」
「紺野さん…」
「お前の後ろには今誰がいる?みんながいるじゃない!
みんなあんたのこと信じてんのよ!
分かったら目ぇあけて周り見なさいっての馬鹿野郎!がんばってんのは、あんた一人じゃない!」
「壁山、紺野の言うとおりだ。目を閉じるって事は、恐怖から逃げるだけじゃない。あいつらの信頼を、裏切るって事だ」
「――!!」
そのとき――壁山が、立ち上がった。
伝わった?伝え…られたのかな…?
「っさぁいくよ壁山!守おもいっきり!」
「ああ!壁山ぁ!」
守がボールを空高くあげる。
時間帯的にもうここで決めるしかない。お願い…壁山…!
二人が、空高く飛び上がった。
「目を開けろ!大空見上げて思いっきり上がれば出来る!」
「うぉぉお!これが俺の、イナズマ落としぃぃぃいい!!」
っそうか!空!
下を見なければ怖くないんだ!
飛び上がった壁山は本当に文字通り空を見上げて、そして、その腹を踏み台に豪炎寺の完璧なオーバーヘッドキックが鶏男を通り過ぎて、ゴールネットに突き刺さった。
<きたぁー!雷門中ついに野生中のゴールをこじ開けたー!雷門中、ここで試合終了!>
やった…ついに…!
<そしてここで試合終了!地区予選第一試合を通過したのは雷門中だー!>
「やったなぁ!壁山!」
「みんなのおかげッス!」
走って駆け寄っていった壁山と守がハイタッチをして、守が手のひらが痛くってもだえる姿がシュールでおかしかった。
てか、あれ。なんか。あれ?
痛がる守に氷を差し出したのはなんと、夏未だった。
「サッカーなんかにそこまで情熱をかけるなんて…バカね」
「なっ、バカってなんだよ!おい!」
ふふっ、夏未ってばツンデレなんだから。
優雅に去っていく夏未に「ありがと!」っていったらちょっと赤くなって車に乗り込んでいった。
「紺野さん」
「あ、壁山おつかれ。まさか腹とはね。予想外だったわ」
「紺野さんのおかげッス」
「あたしお前のことずっと根性なしだと思ってた。悪かったね。
今日のあんたは最高にかっこいい兄ちゃんだったよ」
「俺、みんなのためにこれからも頑張るッス」
「おう。その息だ!」
それにしても、無事地区予選第一試合突破か。
まだまだ先は長いけれどようやくこのチームも一つにまとまってきた。
これからが楽しみね!
「よし、じゃあ帰るわよ!」
「おお!」
あたし、本当にいいチームにはいったなぁ
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