イナイレ長編
□3 あみだせ必殺技!番外編
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「カヤ!」
「お、円堂」
「弁当、一緒に食べないか?」
四時間目が終わって、さぁお弁当にしようかと思っていたら、教室の外から円堂があたしをよんでいた。
「あ、でも…」
約束していたわけでは無いけれど、いつも一緒にお昼を食べる友人がいるからどうしようかと迷った。
「カヤ、いってきなよ」
「アヤ…いいの?」
「いいよ別に。私たち二人でお昼食べてるわけじゃないんだから。
一人いなくなっても大丈夫だよ。どうせ授業中ずっととなりだしね」
だから気をつかわないでよと、彼女がそういってくれたのであたしは礼を言ってお弁当を片手に廊下へ向かった。
「どこいく?」
「部室だ!」
「え、あそこ汗くさい」
「大丈夫だ!カヤと一緒にお昼食べようと思って、ちゃんと窓あけておいたんだぜ」
「なら安心」
一緒にこの学校の廊下を歩くのは初めてで、あたしはちょっぴり嬉しかった。
春休みに兄ちゃんが死んでしまってからは、円堂とは必要以上話していなかったから…
「ねぇ、円堂」
「何だ?」
「今までさ…いや、今更なんだけど。話しかけられなくてごめんね。」
円堂が部室の扉を開ける。
汚いはずなのになんだかそこを空虚に感じた。部室の扉を開け放して、円堂は振り向いた。
「いいんだ!仕方ないよ」
「けど…」
「俺たち、友達だろう?」
「うん…」
「いや、俺は友達っていうかまだ…その…親友だって思ってるんだ」
親…友…?…円堂はまだ、そういってくれるの?
「カヤは俺のこと親友だとは思ってないかも知れないけど…」
「お、思ってる!思ってるよ円堂!」
「カヤ…」
「それはあたしのセリフだよ。
円堂は人気者で、あたしは円堂を勝手な理由で待たせて…親友じゃないって言われても仕方ないって、その資格はないんだって思ってた。
そう思うべき何だって思って、あたし…」
「そんなことなさ!友達でいることに資格なんていらない。そうだろう?」
「っうん…ありがとう。円堂」
「ああ!」
円堂、あたしやっぱり戻ってきて良かった。
だってあたし円堂のことが大好きで、サッカーも大好きなんだもん。
「でも…カヤ」
「ん?」
「俺のこと…その〜、なんていうかさぁ」
「なに言い淀んでんのさ。親友なんでしょ?なんでもいいなよ」
「ああ…」
円堂は困ったように笑って、部室の長椅子に腰掛けた。
「俺のことまた、前みたいに守って呼んでほしいんだ」
「前みたいに…?」
「ああ。お前がサッカー部にはいること止めたときから、なんだかよそよそしくなっちゃただろ?
俺いまだに、お前に円堂って呼ばれ慣れないんだよなぁ。
それにさ、このまえ染岡のこと竜吾って呼んでただろう?」
「ああ、なんか成り行きでね」
「それを聞いたときにさ、俺思ったんだ。うらやましいなーって」
「そんな大げさな!」
「大げさじゃないさ!
俺、カヤが戻ってきてくれてから毎日ワクワクが止まらなくて!
二人っきりでボール蹴ってたときのこと思い出したんだ。
あんときも俺たち、すっげぇワクワクしてたからさ!」
そうだなぁ。
たしかにあのころは大会がどうとかそういう目的はなったし、サッカーという感じではなかったけれど、でもその球蹴りが何よりも楽しかったっけ。
「わかったよ、守」
「っへへ。やっぱりその呼び方が一番しっくりくる」
こんなに待たせて、でも守はずっとあたしのこと待っててくれてた。
だからあたし守の力になれるように…がんばるね。
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