ハイキュー短編

□ガンバレ受験生シリーズ*澤村編
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「模試の偏差値がおちちゃったあなたへ」



なんか、心臓が止まりそうってこういうことなのかな、って思った。

なんだかんだ落ち込んでもすぐに立ち直れるタイプだし、本気で落ち込んだ事なんて数少ない。

でもこの瞬間に思ったんだ。

本気で落ち込んだときって息を止めたくなるんだって。

胸の中で焦りとか不安とか黒いものがぐるぐる回るんだって。

何が起こったかって、簡潔に言えば11月の模試で偏差値が10ほど落ちたという話だ。

運が悪いにもほどがあるというものだ。

さすがにこれが自分の実力だとは思わないけれど…もし本番でしくじればこんな数字が出るのだと現実を突きつけられた。

せっかくBまで上がった判定も一気にどん底Dまで下がり、この結果では滑り止めも滑り止まらない勢いだ。

「ああ、神様神様私をどうなさりたいのかしらまったく」

まったく、もう。

「っし!」

正反対に、となりの男は運が良かったようでガッツポーズをとっている。

いや…あれは運じゃなくて実力だな。

「澤村、判定よかったの?」

模試の結果を折りたたみながら聞くと、澤村はまぶしい笑顔で「おう!」と答えた。

「やっと先が見えてきたよ。あと少しでA判定だ」

「澤村いつもがんばってるもんね」

「お前も頑張ってるだろ?」

頑張ってるつもり――なんだけど。

そんな思いが顔に出てしまったのか、澤村は自分の模試を机の中につっこむと私の模試をひったくった。

「え…えぇえ!?ちょ、澤村…!」

「うんうん…なるほどな」

ちょ、なに冷静に私の模試結果見てるわけ!?

恥ずかしいじゃない!

「あー、こりゃあヘコむな」

と、澤村はようやく模試の結果を返してくれた。

ひとつ文句を言ってやろうと思ったんだけど、澤村は嫌に穏やかな顔でこっちを見てくるのでそんな言葉も失せてしまう。

「でも、今回の模試までは少しづつ上がってきてたんだから、これはお前の結果じゃないよ」

「でも本番しくじったらそうなるんだよ」

「そんなの、俺だっておなじだってば」

「うぅっ…」

「そんな落ち込むな!まだ時間はあるぞ!」

「…うんっ」

わしゃっと頭をなでられて、ちょっと泣きそうになった。

だけどこんなところで泣いていられない。

私はにじんだ涙を払った。



 ガンバレ受験生!



後書き
ああ、私も大地に慰めてほしい…。
そうです、なんか偏差値10落ちて泣きそうですよマジ。
こんなん書いてる場合じゃねぇ←

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