ハイキュー短編

□新しい壁
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「はぁっ!ああもうじっとしていられないわ!

今日もマイスウィートハニィ青根くんと、ふっ、二口さんのブロック見てきたの!

ああ、もちろんこの前の練習試合のDVDを向こうのマネに譲って貰ったんだけどね?

あ、大丈夫!及川の写真でお礼しといたから!」

「…うん、あのさ。お前高校どこだっけ」

「え!やだ及川ったら頭打った?青葉城西にきまってんじゃないのやだなぁ!」

「そうだよね!カヤちゃん俺達のマネージャーだよね!?

ちょ、そのDVD俺に渡すべきじゃない!?」

「やだ及川!女の子の次は男の子!?」

「ちがうよ!」


とある昼休み。

私は昨日伊達工の友人に貰い受けたDVDについて語っている。

目の前にはクソ及川と岩ちゃんがいて、嬉しそうに私の話を聞いています!


「あのねぇ及川よ。青根くんや二口さんの情報を流すわけがないだろう!

あ、でも身長とか誕生日ならいつでも聞いてね!」

「いらねぇー」

「そ、そそそそそれでね!」

「話まだ続いてんのか」

「岩ちゃん俺心おれそう」

「ななななんと一年生が新しく入ったって話を聞いて!興奮冷めやらぬなんだよ!

三時間しか寝てないけど、おめめぱっちりなの!」

「おいちゃんと寝ろよ」

「ありがとう岩ちゃん、そんな君が好きだ!」

「……」

「もうどうしたらいいのこの興奮!

次の試合までなんて待てない!早くみたい!」

「…いっそのこと見に行けばいいじゃねぇか」

「…行ってくる」

「いや待ていま昼休み」

「私を止めるな岩泉よ!」

「カヤちゃんそれはマズイ!

それは向こうにも迷惑かかるから!」

「うっ…クソ及川にまともなことを言われるとは…仕方ない。今日部活休むね」

「なにも仕方なくねぇーよ!」


そんなわけで待ちに待った放課後、私は来ています!伊達工に!

さすがに制服ではマズイのでジャージで何食わぬ顔して入っていく。

何度来ても緊張するなぁ。体育館からはシューズのキュッという音やボールを打ち付ける音が聞こえてくる。

どきどきしながら半分あきっぱなしになっている体育館の扉からそっと顔を覗かせた。

おおおお!や、やはりナマ伊達工はハンパねぇ!ああ!

青根くんのスパイクだレアだ!

二口さんのボールさばきもイケメン!

ああ!死ぬ!ああ、でもまだダメだ!

早く一年生を捜さなければ…どれかな?

青根くんから視線を外して反対方向を見たときだった。

視界いっぱいにバレーボールがあった。

エ、ナニコレ。


「ぎゃああぁああ!」


がすっ。

ひどい音がして、私は叫びながら倒れた。

そして私が身を隠していた方の扉がぐわっと開いて、見慣れない男の子が焦った顔して飛び出してきた。

彼は私の前に座り込んで頭をすごい勢いでさげた。

「うわぁぁあ!すんません!ホントすんません!」

「ぎゃあああごめんなさい!許してください!

青根くんにかけて偵察にきたんじゃないです!」


あまりにデカイ声で向こうが叫ぶので私ももうパニック状態で自分でも訳のわからない事をさけんだ。

体育館はシンと静まり、私たちははっとして口をつぐんだ。


「…紺野」

「ッハ!青根くんのお声が!

あ、いやそのホントごめんなさい!」

「何しに来たの今度は」


ああ!二口さんありがとうございます冷たい目!

マネージャー(友人だよ!)に呆れた目で見られた。


「カヤあんた、我慢できずにきたんでしょ」

「ああホントごめん!

でもこのままじゃ授業もまともに受けられない!

ここは伊達工のファンと言うことに免じてお許しください!」

「まぁお前は情報流したこと無いから別にいいけどさぁ…」


あ、わかっていただけた幸せです!


「あの、どっちにしてもすんません。トスがうまくあがんなくて」


と、目の前の男の子は謝りながら立ち上がる。え、今のトスだったの。

なんでトスなのにあんな威力でこっちきたの?てか…


「デカ!え、デカ!」

「あ、あの俺1年の黄金川っス!」

「1年…き、きみが例の一年生なのか…!」

「ウス!あ、立てますか」


と、黄金川君が手を差し出してくれたので、その手を取るとすごい力で引き上げられた。

あ、あたらめてデカイ!


「紺野、頼むから他言するなよ。そいつは新しいセッターなんだ」

「せ、せせせせセッター!そしてこの身長!

伊達工の鉄壁がすさまじいことに!

ああああ!じっとしていられない!

黄金川くん!」

「っす!」

「君をもっと知りたいです帰りに一緒にガリガリ君食べませんかもちろん私持ちです」

「え、いいんスか!?アザーッス!」


なに…!

なにこの純粋な瞳…!

なにその髪型…!


「神様…ありがとう」

「おーい、戻ってこい紺野ー」



新しい壁

 


後書き
まだ登場した回しか読んでいないのでキャラがちゃんとつかめずちゃんと会話させられなかったのですがどうでしょう。
とりあえず黄金川くんがツボだったというアピールをしておきます(笑

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