ハイキュー短編

□ガンバレ受験生シリーズ*烏養編
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「毎日頑張っているあなたへ」



「繋心すわぁぁぁああん!お部屋かしてくださぁぁああいい!!」


ここ最近の、日課である。


「来やがったな、自称受験生女」

「自称ではないです!おもいっきし受験生です」


私という女は、どうにも学校で勉強するのが苦手だ。

だけど家でも手が付かず、どうしようかと迷ったところこの天国を発見したのである。

あ、ちなみにここは烏野の体育館ですよ。

天国とは繋心さんのお部屋のことです。


「さぁ繋心さん!プリーズ鍵!」

「くっそぅなんで身内でもない高校生に自室の鍵わたさにゃあならねぇんだ!」

「身内ならいいんですか?じゃあ結婚しましょう!」

「バカヤロー!」


その言葉と共に鍵を投げて寄越される。

っしゃ!今日も頑張るぜ!


「あざまーす!じゃあ繋心さん、コーチ頑張ってくださいね!」

「うるせー!お前こそサボって寝てたりしたら即刻追い出すからな!」

「ラジャー!」


さっそく店に向かった私は繋心さんのお部屋におじゃまする。

出しっぱなしになったバレー雑誌を本棚へ戻し、灰皿を空にしたりとお礼の替わりに少し片付け、勉強開始。

私はこの時間がすごく好き。

繋心さんの帰りを待ちながらお勉強だなんて、なんだかすごく良い感じ。

そうして今日の課題を終わらせていくと、いつの間に外は真っ暗になっていた。

そろそろ繋心さんかえってくるかなって思ったら、ちょうど扉が開いて彼が顔を覗かせた。


「おかえりなさい繋心さん!」


とびきりの笑顔を浮かべてお出迎えすれば、繋心さんは荷物を置きながら「ただいま」ってそれに答えてくれる。


「じゃあ、きりついたので帰りますね」


いつまでもお邪魔するわけにもいかないので、私は教材をひとまとめにし、角をそろえて鞄につっこむ。

と、机の上に何か小さな包みが置かれた。なんだろうかと繋心さんを見ると、「家にかえったらあけて良いぞ」と言った。


「頑張る受験生に俺からの贈り物な」

「え!マジすか!あざーす!

いやぁたばこに火を付ける仕草もなかなか色っぽいですね」

「お前、おだて方なにかと間違ってるぞ」


そんなこといいながら、ちょっとだけ赤くなる繋心さんは今日もかわいいと思う。

それにしても繋心さんからのプレゼントかぁ…

すごく、嬉しい。

にやけ顔が収まらないままに、私は店を出て見送りに出てくれた繋心さんに言った。


「じゃ、また明日です!」

「おぅ、じゃあな」


おかしいな。

いつもなら「もう来んなっ」とか言うくせに。

今日はいわないんだ。

不思議な気分で家路につく。

家に帰ってからといって渡された包みが気になるのでこそり鞄から取り出してあけてみた。

あけてみて、絶句した。


「合い…鍵…!」


これは…これは間違いなく合い鍵だ…!


「繋心さん…!」


さっき、もう来るなっていつもみたいに言わなかったのは…こういう事…?

やばい…やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!

どくどく高鳴る胸を押さえて、私は奇声を発しながら帰宅しものすごい勢いで問題を解きはじめた。


  がんばれ受験生!



(繋心さぁぁぁあん!!)
(おまっ、なんで体育館にいんだよ鍵わたしたろ!)
(そうですけどもう興奮冷めやらぬってかんじで!)
(…まぁ、あれだ。別にいつでも好きなときに来い。メシも出すから)
(っ…な、んだと…!世紀最大のデレが…!)
(……)

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