贈り物

□勘違いじゃない
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「##NAME1##、何か言いたいことがあるのならば、はっきり言ってほしい」

今、非常にピンチである。

「な、ないわよあんたに話すことなんて!」

「しかし、今真剣な顔で俺を呼び止めたろう?
そうでなくても最近どことなくぼぅっとしている様子がうかがえる。
俺で力になれるなら話し
てくれないか」

「はぁ?風紀部委員長さんは生徒の悩みを一つ一つ解決してくれるってわけ?ずいぶんご親切なのね」

「全員にそうしてやることはできないが、目の前で困っている生徒がいれば当然のことだ」

私、あんたのそういうところ好きだけど、でも嫌いだわ。

なんでピンチかっていうと、ちょっとへまをこいちゃったの。

隠しておくつもりだった気持ちを、一瞬表に出してしまった。

苦しくなって、いっそ出してしまったほうが楽だろうと思って彼を呼び止めちゃったのだ。

「##NAME1##」

「――本当に、なんでもないのよ。放っておいて」

「泣きそうな顔をしたお前を、放っておけというのか」

「んな!そんな顔してないわ!ばっかじゃないの!」

「自覚がないとは、やはりお前はなにかしら深刻な問題を抱えているのだな…ええい!このままでは俺が雑務に集中できん!この際俺でなくて構わない。誰かに相談したほうが良い」

ガッと肩をつかまれて、そのまま涙が出てきちゃった。

もう、情けないなぁ。

もっと、素直に言えたら。

苛は、人の気持ちを無碍にする人じゃないから、どういう形でも必ず受け入れてくれるのに。

でも私はわがままだからどっちにしろ苦しくなりそう。

フラれちゃったらもちろん苦しいし、そうじゃなくてもきっと、苛が風紀部委員長として皆を気遣うのをみるたび、嫉妬に駆られるんだろう。

こんな私は、どう考えたって彼とお似合いにはなれない。

「苛…」

「それに、俺はたしかに困っている生徒を放っておくことはできないが、暗い顔をした奴にわざわざ声をかけたりはせん。

俺は、生徒である前にお前自身が心配だからこういっているのだ。お前が大事なのだ」

「っそ、そういうこと言ってるとね!バカな女の子がおかしな勘違いしちゃうんだよ!
まぁ!私はおバカじゃないからそんな勘違いはしないけど。気を付けたほうがいいよ」

「それはどういう勘違いだ」

まっすぐみつめてくるその瞳から逃げるように顔をそらした。

「もしかしたら、相手が自分に好意があるのかもっていう勘違い」

「だが、お前はその勘違いをしていない、と」

「そうよ!してないわ」

そうだったらいいのに、とは思うけど。

「ならば、はっきり伝える必要があるな。##NAME1##。
俺はお前に好意を寄せている。だから心配をしているのだ」

――え。

「…な、何か反応したらどうだ」

「いやあの…え?」

「だから!お前に好意を寄せているといったの
だ!」

苛が私に…好意を…?

そ、そんなことあるはずないわ!信じるもんですか!

「ね、寝言は寝てから言いなさい!」

たまらず、真っ赤になって走り出した。

真っ赤な私を見て、苛がふっと笑みを浮かべたことなんて、私は知らない。


 勘違いじゃない


あとがき
だいぶお待たせしてしまってすみません。一応ツンデレ目指したのですがどうだったでしょうか?
読んでくださってありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします!

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