贈り物

□ガンバレ受験生シリーズ*伊織編
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※伊織の進路とか勝手に決めてます


行きたい大学なんて、別になかった。

ただ、糸郎君と同じ大学ならいいなぁとか。

でもおあいにく様、彼は大学生にはならないらしい。

そりゃそうだよね。

あの人は大学に行くだけ無駄だと思う。

糸朗の夢は、自分のお店をつくり、そこを一丁前のブランド店にすることだ。

大学に行く時間なんて無駄なんだろう。

私は、なにをすればいいのかな。

「で、僕に聞きに来たと」

「そうなの。

この時期でまだ何も決まっていないなんて、私くらいだから。

いい加減焦ってきちゃって」

「勉強は」

「大丈夫。今日は終わったの」

「勉強に終わりなんてないんだがな…」

「んもう!今日休みなのに学校来て勉強したんだから!」

「ああ、それでわざわざ休日に部室にきたのか」

糸朗は、もう卒業後に向けて部活の引き継ぎと、服のデザインを考えるために休日も学校に来ている。

外はもう、暗くなりかかっていた。

冬になると日が落ちるのも早い。

「あ、そのデザインかわいい」

「そうか?」

「あ!これも、あとこれも!やっぱり糸朗はセンスあるよ!

私大学生になったら毎日糸朗の店の服来ていきたいくらい」

「そんなにすぐに開業はできないが」

分かってるけど。

でも着られたら素敵だろうな。

「あ、そうだ。経済学部で学んで糸朗の経営のお手伝いするとか」

「それはダメだ」

「え?」

迷惑…だったかな。

「自分のやりたいことを自分で決めてほしいんだ。

経済学に入ってうまくいかなかったら僕の気分が害される」

「が、害されるって…」

「君のために服はいくらでも新調する。

だから自分の行きたい大学で、僕の体験できないキャンパスライフというものを楽しんで貰いたい。

店のことは、それが終わったあとでいい。

そのころには開店できるように努力しよう」

糸朗…ありがとう糸朗。

私もうちょっと自分が何をしたいのか考えながら、それが見つかったときちゃんと行けるように勉強も頑張るから。

だって、糸朗のセンス良い服来てキャンパスライフ送れたら、きっとたのしい。

私はここが学校だなんて忘れて糸朗に抱きついた。

「いいかも。大学でセンス良くてかわいい服来ていっぱい学んでいっぱい笑いたい。

それで、帰ってきて開店のために頑張る糸朗にコーヒーとか入れてあげられたら、なお良い!」

「そうか。じゃあこれから毎日コーヒー入れて貰おうかな。

しばらくは僕が入れてあげる側だけどね」

「あっ、じゃあコーヒーの腕も磨かないと糸朗の舌はこえているだろうし…いっそそういう大学ないのかな」

「あるとしても専門学校の方だとおもうけど…」

コーヒーを入れるから離れろという糸朗の耳は珍しく少し赤くて、私は「こーひーの先にほしいものがあるなぁ」とわざとらしくささやいた。

小さなリップ音は、二人の中にとけ込んだ。



 ガンバレ受験生!



後書き
菓様リクエストありがとうございました!
「伊織の激甘」というリクでしたが、なんか受験ガンバレというよりただの進路決定の話に…もう11月はいったのでいまさらな内容になってしまいました。
しかも激甘にはなってないような…てか伊織の口調あってますか?←
色々と不安要素はあるのですが読んでいただいてありがとうございました^^;
お互い頑張りましょう!

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