贈り物

□ガンバレ受験生シリーズ*犬牟田編
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「この前言っておいたところまでといてきた?」

「うん。でも分からないところがあって。

あ、あのね、式は全部確認したんだけど…」

「どの問題?」

今日は、宝火の部屋で一緒にお勉強会をしているところだ。

私のノートをのぞき込む宝火に、そっとその問題を示す。

宝火にとってはこんな問題なんてことないだろうから、毎度の事ながら少し恥ずかしい。

私は根っからの文系で、志望大学も文系大学なんだけどそこの受験科目に数学があって、私はこうして宝火に数学を教わっている。

数学はすごく苦手だけど、やっぱり第一志望の大学にはちゃんと受かりたいから、頑張る。

「数学が終わったら、得意の暗記科目にするから」

「得意ではないんだけど…数学よりマシなだけで」

「ああ、そっちはこの数字を代入するんだ」

「あ。またやっちゃった…」

「大丈夫。公式がわかるんだから、練習すればちゃんと解けるようになるさ」

「うんっ」

しばらく沈黙が続く。

シャーペンが紙を滑る音と、時計の針の音が静かな部屋に響いていた。

ようやく、全ての疑問が解決されて私は数学の教科書を机の上からおろした。

「終わった?」

「うん。次日本史かな。宝火はなにやってるの?」

「俺は物理。まぁこの程度じゃあ練習にもならないな。

今日は情報処理部は学校にいたっけな」

「今日は二年生がいるはずだよ」

「そうか。じゃあ学校のプログラムからもっと難易度の高い問題を送ってもらおう」

「あ、量が多くてパソコンが重くなるといけないから、そういうファイル全部SDカードに入れてしまっちゃった。

たしか一番右の引き出しにしまってあるよ」

「そうか。それで最近軽くなったんだな。

そういうことは君に任せておくのが一番だ」

「いやぁ…むしろそれしか出来ないというか…」

私は一応情報作戦部に所属しているんだけど(入学してすぐの頃、初対面だった宝火の手によってかってに部員になっていたのは、なんだかもう懐かしい思い出である)、なにぶん機械音痴で、そう言った基礎的なお手伝いしかできないのだ。

「いや、君はよくやってくれているよ。

俺が振り回しても飛んでいった試しもないしね」

「振り回していた自覚あったんだね」

「まぁね」

まぁ、最初は不服だったけど最終的にはこうして結ばれたのだから、よかったのかもしれないけれど。

すこしでも宝火の役に立てているのなら嬉しいし。

「そんな調子だと、宝火一人暮らしはじめたとき大変そうだね。

卒業したらなかなか会えなくなるんだから、今から自分のデータくらい自分でSDカードにして管理しておいてね」

部員にメールを出している宝火に私はそう言った。

でも…そっか。

もしお互い希望通りの大学に受かれば、当然大学も違うわけだからなかなかあえなくなっちゃうなぁ。

「?」

と、宝火が携帯から顔を上げて不思議そうに首をかしげた。

私何かおかしなこといったかな?

「お互い同棲するにも関わらず何故会えなくなる?」

「…え?」

「ああ、言ってなかったね。そうなんだよ。

お互い志望している大学からちょうど良い距離の物件を見つけたんだ。」

だから同棲できるんだよ、なんて。

そんな軽いノリで、今宝火すごいこといったよね?もしかして聞き間違いとか…

「因みに拒否権はないから。

入部したときみたいにね」

あ…聞き間違いじゃ…なかった。

「どうせ数年もすれば俺と結婚するのだから同棲は早いに越した事はないだろう?」

「え、えぇえ!?」

けけけ、結婚?! 

「え、あぁああの宝火!それって――」

「ほら、おしゃべりはもうおしまい!

どっちみちお互い合格しないとその物件の話もパァになるんだから」

「ぅ、うん頑張る!」

「(その返事は肯定とみなしても良いのかな?)」

な、なんかもうよくわからなくなってきちゃったけど、とりあえず勉強頑張ろう!


 ガンバレ受験生!



後書き

いかがでしたでしょう!

ご希望にうまくそえたか分かりませんが…

こんな彼氏いたら心強いなぁっておもいながら書いてました。落ちるきがしない!(笑

本日はリクエストいただきありがとうございました!

お互い受験頑張りましょう^^

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