贈り物

□ガンバレ受験生シリーズ*バジーリオ編
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大学受験には、筆記だけじゃなく面接が必要な場合もある。

そんなときにはたいてい担任の先生に練習に付き合って貰うよう頼む。

今年高校三年生の私も、例外ではない。

「せんせぇ、二者面談いつやってもらえるんですか」

あ?と、とぼけた声を上げながらバジーリオ先生は振り向いた。

「あー、その顔。忘れてたでしょ」

「だっはっはっは!悪いな!

まぁ、今度の日曜お前んちの母ちゃんにメシさそわれてっからよ。そんときでいいか」

「え、学校じゃないんですか」

「俺にも自分のクラスがあるからな」

「ロンクー先生の女嫌い治していただけるとありがたいですけどね」

「まぁそういうなって。

お、もしかして教室で俺と二人きりが良かったか?」

「…やっぱり音楽のオリヴィエ先生に頼めばよかった」

なんか、わかんないけどすごくイライラした。

「フラヴィア先生!

バジーリオ先生がセクハラしてくるんですけどー!」

私は逃げるように通りすがりのフラヴィア先生にそう声をかけた。

あーあ、それにしてもバジーリオ先生私がせっかくメチャクチャ怖いヴァルハルト校長の居る職員室までやってきて面接練習のお願いしたのに、忘れてたんだ。

あんときも今ちょっと手が離せないから、日にち決まったら声かけるとかいって、本当はめんどくさかっただけなんだろうな。

バジーリオ先生とは、彼が教員になるまえからの知り合いで、あの頃はいっしょに遊んでくれるおにいちゃんみたいなかんじで大好きだったのに。

今は生徒と教師という型にはまった関係になって。

なんか、寂しいな。


 きたる日曜日。

私は午前中から課題に追われ、朝から机に向かっていた。

あれもこれもやらなくちゃいけないのに、なにをどう始めていいのかわからなくなる日々にいいかげんイライラしてきた頃、お昼になった。お昼の時間にあわせてバジーリオ先生はやってきた。

私は終始うつむいてお母さんの横に座っていた。

「…ごちそうさま」

「あら、あんた愛想のないこねぇ。せっかくバジーリオが来てるんだから、もっとゆっくり食べたらいいのに」

「…受験生ですのでそんな暇はありませぇーん」

「あんだよつれねぇなぁ。

お前が高校に入るちょーっとばっかし前まではバジーリオ、バジーリオってあんなに俺が来るのを嬉しそうに待ってくれてたっつぅのに――」

「先生それ以上言わないでください。もういいですよどぉぉおせ私の担任でもなんでもないんだから、わざわざ面接みてくれなくたっていいです。

フラヴィア先生に頼みます」

いいんだもう。

なんか空気わるくなっちゃったけど、私はそのまま二階に上がってむしゃくしゃした気持ちでどかっと椅子に腰掛けた。

ああ、広げっぱなしの教科書。

苦手教科。

やんなっちゃう。

「あぁあー…おい、いんのか」

と、部屋の外から先生の声が聞こえてくる。

もう、来なくてもいいのに。

「悪かったって。

別に忘れてたわけじゃねぇんだ。

ここに来る予定があったから、面接はそんときにやれればいいかと思ってたんだ。

悪かったな」

「……いいよ先生。

先生も忙しい分けだしさ。ちゃんと時間のある先生に頼むから」

「いや!それじゃあ意味がねぇ!」

うわぁっ!急に大声ださないでよ!

「くそ、別に着替えてるわけでもねぇんだろ?あけるぞ」

「ぅわっ」

ちょ!

教科書つみっぱなしなんですけど!椅子に座ったまま放心する私の元へ、先生はずかずかやってきて隣に立った。

「それじゃあ、俺がせっかくお前の学校にきた意味がねぇじゃねぇか」

「…え」

「俺はな、偶然じゃなくてお前の高校の先生になりたくてきたんだ。

お前が受験するとき、支えてやれたらと思ったんだ。

まぁ…結果的にはちぃっとばかり気まずくなっちまったけどよ」

バジー…リオ…

「この俺が同じ学校にいながら第一志望落ちるなんてヘマは絶対にさせねぇぞ!

おら、分かったら今から面接練習だ!」

自分でそう言いきったくせに、その顔は肌が黒くても分かるくらい赤くなっていた。

私…ひとりでからまわってイライラしたりして。

八つ当たりみたいなことして。

「…ごめんバジーリオ。私なんかイライラしてた。」

「お前は気張りすぎだ。もっと楽に行こうぜ?な?」

「…うん」

受験なのに気をぬいて楽になんて、他の人は絶対にいわないからね。

けど、私は頷けたんだ。

バジーリオが居てくれるってわかったから、気張りすぎずに、自分のペースで頑張ろうって。


 ガンバレ受験生!



後書き

えー…いかがでしたでしょうか。
家族と知り合いとかあんまりよくわからないのでこうなったんですけど(笑

いや、当初の予定ですとこんなんではなかったんですよ!

ただなんかどうやってはじめようかなぁと「二者面談まだですか」っていわせたらこうなりました。あの一言でこうなりました。

気に入っていただければ良いのですが…

でもあれですね!FEの学パロとか見たこと無いのでおもしろそうです!

本日はリクエストくださり、ありがとうございました。

お互い受験頑張りましょう^^

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