鋼夢物語

□桜華の錬金術 第一話
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……東方司令部 司令室



穏やかに晴れた朝、ここ東方司令部は、慌ただしく動き回っていた。


ガチャリ

ドアの開く音がし、ドアを開けた男性と彼の横で今、問題になっているトレインジャックの資料を片手にもった女性に視線が集まった。

「乗っ取られたのは、ニューオプティン発特急04840便。
東部過激派 〈青の団〉による犯行です」
「声明は?」
「気合い入ったのが来てますよ?
読みますか?」
「いや、いい」

黒髪の軍服をきた、ロイ・マスタング大佐は、資料を雑に置き呆れた表情をした。

「どうせ、軍部の悪口に決まってる」
「ごもっとも」

彼の横にいた長い金色の髪をバレッタで止めたリザ・ホークアイ中尉も続いて司令室に入ってきた。

「要求は現在収監中の彼らの指導者を解放する事」
「在り来たりだな…
ーで本当に将軍閣下は乗っているのか?」

マスタングの問に作業している黒髪のケイン・フュリー曹長の前にいる銀髪のヴァトー・ファルマン准尉が答えた。

「今、確認中ですが…おそらく」

ファルマンの言葉にマスタングは溜息をつき手を首の後ろに回し

「困ったな
夕方からデートの約束があつたのに」
「たまには、俺達と残業デートしましょうやー まずい茶で…」


マスタングの言葉にすかさず、金髪のハイマンス・ブレダ少尉が言う。


「ここはひとつ将軍閣下には尊い犠牲になっていただいて
さっさと事件を片付ける方向で…」
「バカ言わないで下さいよ大佐
乗客名簿あがりました」


「あー
本当に家族で乗ってますね、ハクロのおっさん」

フュリーによって出来上がった名簿を金髪のジャン・ハボック少尉がタバコ
をくわえながらのぞき込む。

「まったく…東部の情勢が不安定なのは知っているだろうに
こんな時にバカンスとは…」

呆れの表情をにじませながらマスタングは名簿を目で追っていく、
するとある名前のところで目が止まった。

そして口元を緩ませながら

「あぁ諸君、今日は思ったより早く帰れそうだ
それにいい知らせだ」

そんなマスタングに室内にいる人の視線が集まる。


「鋼の錬金術と桜花の錬金術師が乗っている
思ったより早い再会に成りそうだな」
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