鋼夢物語
□桜華の錬金術 第一話
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…………
どうしてこうなったと黒色のフード付きのコートを着た少女は頭を抱えていた。
「この04840便は俺達〈青の団〉が占領した。抵抗する奴は命が無いと思え」
(ちょっと待て、なんでこうなった。
久々にイーストシティに帰ってきたと思ったら、なんで事件に巻き込まれるんだよ!)
少女、オウリ・ブロッサムはフードを深く被りサングラスの下の目には焦りが滲んでいる。
(帰ること、大佐やリザさんには言ってないのに絶対バレてんじゃん;)
頭を悩ましているうちに後ろの方で騒がしくなっている事に気づいた。
(なんか後ろの方が騒がしいな)
気になり後ろを見てみると、丁度一人のハイジャック犯の男が吹っ飛ばされるところだった
(ポカーン
なんか、いつの間にか凄い事になってるー?!)
吹っ飛ばした人間の方を見てみると
トクンと心臓が忙しく動き出した。
太陽の様な金色の髪を後ろで三つ編みにし、意志の強そうな金色の目を持つ赤色のコートを着た男の子、自分の大事な幼馴染みだった、そして近くには顔を手で覆い溜息をついている、今は鎧の姿をしたもう一人の幼馴染みがいた。
(なんで……いるの?)
本格的にドクンドクンなりだりた心臓を落ち着かせるため体制を元に戻した。
(え、え、え、マジ!?なんでこの列車にいんの!?
二人共賢者の石探してんじゃないの)
視線をまた向けるともう一人も片付けたようだった。
しかし、彼の後ろまだ残っていた犯人が拳銃を向けていた。
(あのバカ!!)
「兄さん!後ろ!!」
彼の後ろの犯人に気づいた、アルが声をかけるが間に合わないと思った、その時
ガッ ドゴン
犯人の足を引っ掛け、背負い投げで撃退した。
その様子に乗客を含め目の前の二人も口を開けポカンとしていた。
「ふぅ〜(危なかった)」
室内が静かであることに気づいたオウリは視線を上げた。
「ゲッ!?(ヤバ!大人しくやり過ごすハズが、逆に目立ってまった!しかも二人もガン見してるし;)」
人々が固まっている中アルが一番早く我に返った
「兄さん
兄さんの後ろに拳銃をもった人がいて危なかったんだよ。
助けてくれたんだから、お礼いいなよ」
「!!あ、ああ
ありがとな、助かったよ」
助けられた本人も我に帰り、慌ててお礼を言った。
そんな昔と変わらない彼らの様子に口元がゆるむのがわかった。
「クスッ
いえいえ、怪我が無いようで良かったよ。決着が付いたからって、集中力切らせちゃダメだよ。
じゃ、また後でね」
と言い太陽の様な髪の毛の頭を撫でて自分の席とは反対方向にこの関わってしまったトレインジャックを止めるため第一車両を目指し歩いていった。
(大きくなったね……………エド )
去って行く背中をハッとした様子で見ていたエドにオウリは気づかなかった。
…………………………
「兄さん?」
アルフォンスの声で自分がさっきの女性の背中をずっと見ていた事に気づいたエドワードは焦った様に
「あっあーわり、どうしたアル?」
「いや、固まってどうしたのかなって」
「いや別に大した事はないんだけどな、それにしてもさっきの女、体術凄かったな
「うんうん、動きに無駄がなかったよね
まるで踊っているみたいだった」
エドワードが少し俯かせ
「……なぁアル」
「なに?兄さん」
「さっき、あの女に頭撫でられた時、あの日のアイツと重なったんだよ」
「え!」
「あの無駄の無い体術といい、あの言葉といい
なんか、いろいろ重なんだよアイツと」
「そんなまさか、だってさっきの人黒髪だったじゃないか」
「だから、もう一回捕まえて話さねぇーと」
「…うん、そうだね。
僕もちょっと気になるよ」
また二人は先ほど、去って行った女性の背中を思い浮かべ、ドアの方向を見ていた。
(オウリ … 何処にいんだよ…)