小説
□プロポーズ
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「やあ!マレちゃん!」
石造りの城の広間の奥の方にある王の玉座に腰かける長身の女性は悪の女王マレフィセント、冷たい瞳を僅かに動かし見つめる彼女に冥界の神は明るく話しかける
「マレちゃん今日はなんの日か知ってるかい!」
「冥界は余程暇なようだねぇ…」
呆れた表情で見据える彼女にハデスが笑いかける
「そんな顔すんなよ!オレはあんたのことを思うとここが熱く疼くんだ!」
指先を心臓の辺りにそっと置くハデスにマレフィセントは目を丸くする
「それに本気じゃなきゃこんな日にここに来ないしな!」
「それはどういう意味だい?」
「んーちょっと目をつぶってくれないかなぁ?」
そうハデスからの言葉に首を傾げつつも渋々目をつむる彼女に彼が指先から煙を出し何かを造り上げていく
「はい!もう目を開けてもいいぜ!」
ハデスからの発言に恐る恐る目を開くとそこには漆黒の薔薇の花束があった
「...なんだい?これは」
「んー指環も必要?」
もうひとつの片手で中央に深紅の耀きを放つ宝石を嵌め込んである指環を出してみせるハデスにマレフィセントは眉をひそめる
「それ...もしかして、それプロポーズのつもりかい?」
「ピンポーン!まあ、すでに奥さんがいる身のオレとじゃ結婚は来世までお預けになっちゃまうかもしれねぇがな!」
でも愛する心に変わりはないぜ!と発言の後、ハデスは花束を押し付け素早く彼女の手に指環をはめた
「ふん...嬉しいことをしてくれるじゃないかい」
薬指にはめ込まれた指環を嬉しそうに見つめる彼女にハデスが肩にへと手を置く
「それと私は来世まで待つつもりはないよ?」
「ん?」
「いつか...冬の間だけ傍にいる女神から心も身体も奪ってやるから覚悟しておいで!///」
その言葉と共にハデスの唇に情熱的に口付けるマレフィセントに彼も応えた...
End