book1

□君の好きなところ*橙黒
1ページ/1ページ



「裕ちん」

そう呼んでくれるところが好き。



「ぱあぁぁぁぁん!」

ギャグばっかやるところが好き。



「美味しいって聞いたから、これ、プリン!買うてきてん!どう?」

俺に甘いところが好き。



「裕ちん、そんな薄着やったら風邪引くよ?ほら、これ着とき?」

優しくて、ちょっとクサいことも真顔でやっちゃうところが好き。






でも、1番は、



「もぉー可愛いなぁ…。好きやで、裕ちん」



眉尻を下げて柔らかく目を細めて


優しく笑ってくれるところが好き。







長男でメンバーの中でも1番年上で、素直に甘えられない性格の俺やけど



その笑顔を見ると、肩の力が抜けるというか。


ワガママも無茶振りも
困ったような、でも、嬉しそうな笑顔で受け入れてくれるから

ついつい寄りかかって隙を見せてまうというか。












「ふふ、裕ちん、照れてるん?」


「だってこんなん、恥ずい…」



何故か今、俺はマルの膝の上。

あぐらをかいたところに向き合うように座らされている。



匂いとか体温とか、こう改めて感じると恥ずかしい。




「久しぶりやん、こんなにゆっくり出来るの。俺めっちゃ楽しみにしてたんよ?」


「…俺も」


「ほんま?」


「うん…」


「ふふ、今日は素直やねぇ」


「…あかん?」


「いやいや!あかんくないよ?嬉しい」



そう言うマルは、俺の好きなあの笑顔で。







その顔を見てふと溢れて零れたのは


「マル、…好き」


そんな

シンプルだけど俺の気持ちそのまんま表した言葉やった。





「あ、いや、あの!えっと…」


無意識的に発した言葉に驚いたのはマルより俺の方で、
急に恥ずかしくなって膝の上から逃れようとした


「あかんよー」


…けど

そっと腕を腰に回されて柔らかく、でも確実にホールドされてしまって。

しかも

「ありがとう、俺も好きやで」

なんて、普段とは違う低音で甘く囁くから思わずドキッとしてしまって。




「ちょ、も、マルのアホ!」


「えぇ、何でよ(笑)」



それがとても悔しいから。






「俺のんが、好きやもん」



まだまだ主導権は渡さんぞ、と

真っ赤になったマルに抱きついた。


end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ