book1
□報告*紫黒
1ページ/3ページ
汚したくないと思ってた。
こんなにも綺麗で、純粋で、繊細なこの子を。
傷ついても周りには隠して、ひたむきに頑張るこの子を。
そして、
「ヒナ」
そう呼んで、俺のことを信頼しきった目で見てくれるこの子を。
「ヒナ、ちょっとええ?」
ある日、2人での仕事が終わった後ヨコに声を掛けられた。
嫌な予感がした。
持ち前の勘の良さをこんなに恨んだことはない。
人払いした楽屋で告げられたのは
「俺、その…付き合うことになってん、あの、マルと」
予感的中、俺にとって全く嬉しくない交際宣言。
しかも、同じメンバーとの。
長い間一緒に居たから、この子に最近何か変化が起きたことはわかっていた。
しかも、恋愛関係の。
最近ヨコは丸くなったし、目に帯びる優しさが増したから。
でもそれが男、しかもメンバーであるマルの影響だとは気付かなかった。