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□手料理*緑黒
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「横山君、ほんまに大丈夫?」
「大丈夫やって」
自信満々に頷く横山君。
はぁ、心配や…。
横山君から、家に行きたいと連絡があったのは夕方だった。
忙しさも落ち着いて、昼頃からまったりしていた俺はもちろんそれを受け入れて、
というか、
あまりない向こうからの申し出にテンションが上がりまくった。
横山君が来る前に、掃除をして、横山君の好きなアロマもたいて、ここだけの話ベットメーキングも入念におこなった。
1時間後、浮かれまくった俺の家にやってきた横山君。その手には、スーパーの袋。
「あれ、何か量多くない?」
いつもなら、何本かお酒を買って来てくれるだけなのに。
今日は…
「今日はな、料理するん」
…ん?
「俺が?」
「ううん、俺が」
「…横山君が?」
「そお」
「………ええぇぇっ⁈」
「せやからキッチン貸して。俺の家全然キッチン道具無いねん」
「ちょ、横山君!無理やって!」
「…何で?」
「何で、て!横山君、自分がどんだけ不器用か忘れたん⁈」
残念ながら、横山君の白くて美しいその手は料理には全くむいてない。
そんな危ないことさせられへん!
「俺かて出来るやろ」
「いやいや、何か食べたいものあるなら俺作るし!横山君ケガしたらどうするん?」
「だから大丈夫やって。大倉は待ってるだけでええし」
「え、俺の分も作ってくれるん?」
「おん」
「そ、それはめっちゃ嬉しいけど…」
「やったらええやん。な、大倉、お願い!」
両手を合わして、上目遣いでお願いしてくる横山君。
「え、ええよ…」
あかん!こんな可愛くお願いされたら断られへん!!
「ありがとう (こいつ楽勝やわ)」