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□断罪。
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「僕はヒーローだよ?町の異常を見逃すわけにはいかないだろう。血の臭いがかなりしてたから来ただけさ」
確かに、鉄に似た臭いがする。
まあ、血溜まりがいくつもできているから当たり前なのだが。
「人を助けるのが目的な私は此処に来――」
「じゃあ・・・俺の事も助けろよ・・・っ」
遮る様に、でも聞こえないように呟いた。
「軍人く・・・っ」
「所詮、ヒーローなんて上っ面だけなんだよ。死ぬほど助けたいなんて思っちゃいねぇんだよ」
今、スプレンディドがどんな顔をしているかは分からない。
「俺は・・・お前みたいな奴が嫌いなんだよ・・・ヒーローなんか居ねえんだよ!!」
こんなに人を殺した後に何を救うというのか。
大体、もう助ける相手が居なくなったのならさっさと別の場所に行けばいいものを。
「居る。ヒーローは居る」
「・・・は?」
「軍人君、こんなになるまでずっと・・・待たせてごめん」
背中にスプレンディドの体温を感じた。
気付けば俺の上に覆いかぶさっていた。
ふっとスプレンディドの吐く息が聞こえる。
「スプレンディド」
「ん?」
今日は抵抗する気が起きなかった。
「殺してくれ」
「・・・・・・え?」