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□閃光。
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2、3年前は、部下が居た。
自分には勿体無い位有能な部下。
いつも自分の事を慕ってくれ、「フリッピー軍曹!」と明るい声で名を呼んでくれていた。
決して最後まで裏切ることはせず、最後まで戦い抜いていた。
その部下達を自分のミスのせいで殺してしまった。
あの頃には戻れない。
戻りたかった。何を犠牲にしてでもあの二人を取り戻したかった。






――――――――――――




「軍曹も飲みましょうよー・・・何時死ぬか分からないんスから」

愛想笑いで「いや、良い」と返答した。
何時死ぬか分からないだなんて、分かってるけど、縁起でもないだろう。

「えー・・・軍曹は俺の二十歳祝ってくれないんですかー?」

今日はスネイキーの二十歳の誕生日だった。
たった3人で、祝う会。
酒は一本だけ。敵兵が落として行った物を拾っただけだ。
普通なら怪しいと感じるが、酒を造った工場は自分等も良く知る所だった。
会は、テントの中という非常に狭い空間だった。
それでもスネイキーは何も言わず、ただただ酒を飲んでいた。
マウスはまだ成人していないので、水だけをちょびちょびと飲んでいた。

「まあ、本来なら敵陣地で酒を飲むなんて有り得ないけどね・・・一杯だけなら」

「そうこなくちゃ。じゃ、マウスよろしく」

マウスは小さな器を持ってくると、それに酒を注ぎ、差し出して来た。

「・・・んぐっ」

一気に飲み干すと、器を下へと置いた。

「フリッピー軍曹・・・その、本当に大丈夫なんですか?」

マウスは心配そうな様子で顔を覗き込んできた。

「・・・慌てず、落ち着いて行動する事が大切だ、うん」

はっきり言って、自信なんか無かった。
最初から。

「あの、スネイキーも・・・あんまり飲まないでね?その、心配だから」

「うん、有難うマウス。でも、自分で言うのもなんだけど、俺酒には強いと思うよ?」

酒はほとんど無くなっていた。
つまり、一人でほぼ飲んだという事になる。
自分ではまず無理だ。
飲み干す前に具合が悪くなって吐いていると思う。



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