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□断罪。
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辺り一面に広がっている赤色。
その紅い海の上には少なくとも20体以上の遺体があった。
どんな風に泣き叫び、どんな風に自分が殺したかも覚えていない。
ついさっきあった事だが。
興味の無いことは記憶しない。
殺せればそれで良い。
快感が得られるのならソレで良いと。
自己満足していた。

きっと2、3年前はこうじゃなかったと思う。
戦争で、人を殺す事に抵抗感があったはずだ。
初めて戦争に『軍人』として出た時、殺してしまった時、いくら敵だとは言っても、泣いてしまった記憶がある。

自分はすっかり変わってしまったと自らも感じている。

「・・・っ・・・」

殺した時に頭に感じる妙な痛みは何なのかはハッキリ分からなかった。

「軍人君、今回も凄いねー」

聞いているとイライラする声が後ろから聞こえた。

「・・・っるっせえ」

後ろを向くと、やはりスプレンディドだった。
善人ぶりやがって、大嫌いだ。
善心とは言っても最終的には自分と同じような事をしているのだ。
なのに、『悪人』だの『殺人鬼』だの言われたくない。

「そんな事して君は何か得をするのかい?」

スプレンディドは遺体の首を手に取り、血に塗れた髪を撫でた。
汚れないようになのか、手袋のような物は手にはめていた。

「テメーに関係ねぇだろ」

そう返事すると、ソイツは不敵な笑みを顔に浮かべた。


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