短編

□気紛れお天気様の采配か
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「げ」

今日は特に用事も無く、帰ろうとしていたら先生に呼び止められ暇なら、と仕事を押し付けられたのが一時間前。
その間に天気は一変し、外は雨模様。止む気配なんか一向にない。夏の夕立はすぐに止むんじゃなかったのか。

「今日に限って折り畳み傘持ってないし…」

あまりの自分の運の悪さにため息すら出ない。

「どーしよっかなー」

下駄箱の前で待ちぼうけをくらってかれこれもう30分は経っている。そろそろ限界だ。



「お前、何やってんの?」

「え、」

聞き覚えのある声に振り返ってみればクラスメイトの黒尾がいた。彼はまだジャージ姿で部活中なんだな、頭の隅で思う。

「えーと……」

なんだか傘を忘れたと言うのも癪で言い訳を考えていると、流石はバレー部主将。すぐに私の状況に気付き、その上でニヤリとした笑顔をこちらに向けてくる。

「もしかして半井、傘持ってねぇの?」

「…雨降るとは思ってなくて」

よりによってこんな面倒くさいやつに見られるとは。なんだか謎の悔しさが沸き上がってきて目をそらす。

「朝ちゃんとテレビで言ってたぞー」

「っ、言ってたのは“夜”でしょ!?私だってこんな遅くまで残ってるつもりはなかったし!!」

さっきまで一人で溜め込んでた文句を勢いに任せて全部黒尾にぶちまける。
あ、ちょっとすっきりしたかも。



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