小説内容2

□第三話
2ページ/6ページ



 扉が開いた向こうには、気を失っているナツミを腕に抱いた男が立っていた。
 男は、扉があいたことも気にせずナツミの首筋に牙を埋めると血を吸い始めた。
 その男の目を見て、リバルとライ以外は言葉を失った。
 金と銀のオッドアイで異様なまでの力を感じる。
 みんなが動けずにいると、男はリバルに目をやり睨みすえた。
 ナツミの首から牙を抜き、手で首筋から流れでた血を拭う。
 そして、静かにリバルに言う。

「いつ、外にでて良いと言った?
 リバル、この世界が不安定になっていた。
 今は俺の力で保たせているから案ずることはないが…」
「すみません、お父様」

 リバルがそう言うと一瞬の沈黙がおりた。
 ライがリバルについで、始祖に向かって言う。

「父さん、兄貴を外に出してやれよ」

 今度は、長い沈黙がおりた。
 みんなは、なにも言えないでいるようで、なんとか状況を飲み込もうとしている。
 スイルが、イラッとしたようにライをみた。

「まさか、ライとリバルの父親なんて言わないよね?」

 スイルの言葉にライとリバルが声をそろえて言う。

「父親だ」

 2人は当たり前のごとく、スイルに告げる。

「なんだ、言ってなかったのか?」

 男も少し驚いたようで、ライに目をやる。

「言う必要ねぇだろ?」
「はぁ…お前の面倒くさがり屋なところは変わらないのか…ライ。
 …まぁいい。
 俺は始祖、サワンだ」

それから、みんながそれぞれに驚いた声をあげたのは言うまでもない。

しばらくして、ナツミが目を開けた。
頭にてをやって、何があったのかを思い出そうとしていると、目の前に自分を襲ったサワンがいることに気がつき息をのんだ。

「そんなにビックリするな。
俺はサワン。始祖であり、お前の祖父だよ」
「…はい?」

ナツミの周りに多くのクエスチョンマークが浮かぶ。
はるがそばにきて、ゆっくりと理解できるように説明をしてくれた。

「つまり、なつみんのおじい様?みたい。
私たちも今さっき事実を知ったばかりで。
ライさんとリバルさんは、ちゃんと始祖のサワン様と血が繋がっていて、なつみんも血が繋がっているんだよ」
「すごくビックリしたんだぞ」

はるの言葉にシズカもはるの後ろから言ってくる。
まだ、ぼんやりとする頭で2人を見上げた。
正直言って、そこまで驚くことではなかった。
ライとリバルの目を合わせたような目をもつサワンをみて、なんとなく気づいていた。

「そういえば、おじ様はっ…」

ナツミは、ふとリバルのことが気になって口にした。
すると、サワンがナツミに向かって口を開いた。

「あー、リバルか。お前は、リバルをどうしたい?」
「えっ…?」
「人形として神天世界に創った存在。
そいつを外に出せるようにするか、閉じ込めるか…お前なら、どうする?」

サワンはいたって真面目な顔で言った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ