小説内容2

□第二話
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 太陽が沈み始め、ナツミたちが目を覚ますごろぐらいになったときロイトは光の世界に足を踏み入れていた。
 ロイトが地面に足をついたのと同時にライやスカルたちがすぐに気が付いた。

「チッ…きたか」

 ライがそうつぶやくのと同じくらいにスカル、スイル、リーク、緑木が部屋に入ってきた。
 ライの横にはすぐにイアルとキリクが現れた。

「イアルとキリクはナツミたちを起こしに行け!
 スカルたちは俺と共に神の1人をつぶしにいく」

 「了解っ!」とみんなが声をだした。
 そして、それぞれ指示されたことをしだしに走り始めた。


(起きろ…)
「んっ…えっ?」

 闇の声にナツミは目を覚ました。
 まだ起きる時刻までには時間がある。
 普段、闇は私を起こしてくれないのにどうしたのだろう。
 そう思っていると闇は私の考えを読み取ったように話し出した。

(神の1人がここへきた。
 おそらく、あのリバルとかいう奴の手下だろう…。
 あまりいい感じではない。
 何をしに来たのかはわかんねぇけど、戦う準備をしろ)

 闇の言葉は寝起きだった私の目を覚ますには十分すぎるものだった。
 急いで飛び起きると戦いやすいように、いつもとは違う動きやすい服を選んだ。
 すばやく着替え髪の毛を1つに結った。
 そして歯を磨きに行こうとしたところで闇に突っ込まれた。
 

(お前!こんな時にそんなことしてる場合じゃねぇだろ!!
 このバカっ!!!)
「そ、そうだった…」

 ナツミは洗面所に向けていた足を扉に向けたのだった。


 嫌な予感がし、シズカは目を覚ましていた。
 なぜか動機がする。
 ふと外に目をやると1人の男がこの光の城に向かって歩いてきているのが見えた。
 その男からはとてつもなく嫌な感じがする。
 もしスカルがこれに気づいていれば、すぐにどうにかしようとするだろう。
 戦いになればスカルも参戦するはず…。
 その考えに思い立ったとたんシズカは動きやすい服を手に取っていた。

 シズカが準備をし終えた時だった。
 せわしないノックと共にキリクが扉をあけてきた。
 シズカの姿をみて、どこかホッとした様子だった。

「準備をしていてくれたのですね。
 助かります!!
 急いで僕と来てください」
「わかった!」

 キリクはずいぶんと急いでいるようだった。
 

「はる様を起こしに行きます。
 シズカ様も早く!」

 キリクが走り始めるとシズカも急ぐようにして走り出した。
 胸騒ぎは途絶えることなく強く大きく膨らんでいくばかりだった。

 
 イアルはまひろの部屋に急いでいた。
 緊急事態だった。
 ナツミの部屋に行ってみたが、そこにはナツミの姿がなかった。
 少し心配になったがおそらく異変に気付いたのだろう。
 そう思いイアルは部屋を後にしていた。
 まひろの部屋につくとイアルは扉をノックした。
 すぐには出てこなかったものの、しばらくすると眠そうに目をこすりながらまひろが扉を開けてきた。

「あー…イアルさん」

 まひろはパジャマのままでイアルは少し顔を赤らめつつ見ないように目線を下にずらし用件を伝えた。
 すると、まひろはまだ寝ぼけつつも急いでクローゼットのもとへ行った。
 途中、つま先をぶつけたようで「イッター…」という声がしたが涙目で着替えた姿で出てきた。

「イアルさん、お待たせしてすみません!
 あと、あんなかっこうを見せてしまって…」

 イアルはまひろの言葉を聞きながら、まひろの手にある多くの術書に目をやった。
 

「重そうだな…持つか?」

 イアルが聞くとまひろは首を横に振った。
 自分のものだから大切なのだろう。
 イアルはそう思い無理を言わなかった。
 そして、まひろを引き連れミナミの部屋に向かっていった。

 そのころミナミは外をみていた。
 ロイトの力が上がっているのを感じる。
 ロイトがふとミナミの方を向いた。

(ミナミ、もうすぐだ。
 まだおもてだっての行動はするな)

 頭の中に直接話しかけられミナミは小さくうなずいた。

「ごめんなさい。なっち…みんな」

 ミナミは目をつぶった。
 ズキズキと心が痛んで仕方ない。
 2人分の足音が私の部屋に近づいてくる。
 私もこの戦いに身を投じる。
 今回はナツミを守りながらライを殺すことをかげながら手伝えばいいというだけだ。
 私は自分のすべきことをする。
 何度もそう自分に言い聞かせた。
 
 そして運命は扉のノックと共にやってきたのだった。


 そのころシズカは、はるの部屋の扉を開けてたたき起こしていた。
 こんな事態だというのに、はるは心地よさそうに寝ている。

「も〜、なに〜…」
「なに〜…じゃねぇよ!!
 早く起きろ!!」
「しらないよぉ〜」

 シズカは布団をとろうと引っ張るが、はるもとられまいと引っ張っており引っ張り合いになってしまった。
 キリクはオロオロとし、どうしたらいいのだろうと考えていた。

(ここはシズカ様を…いや、そんなことをしたらリーク様に後から叱られるような…う〜ん)

「はるっ!あんた、リークと緑木が死んでもいいの!?」

 シズカの一言で、はるはパッと目を覚まし布団を引っ張るのをいきなりやめた。
 そのせいでシズカは後ろにすってんころりんとでも言うように転がりしりもちをついた。

「イッタいなぁ!!」
「リークと緑木は死んじゃだめだよ!!」

 シズカのことは眼中にないようで急いで服を取り出した。
 しかし、その服をみてシズカは突っ込まずにはいられなかった。
 

「お前、戦いに行くのにそのフリッフリな服はねぇだろ!」
「だって、私動きやすい服なんてこの服しかないんだもん!!
 というか、こういう服しかありません〜だ!」
「お前ねぇ…生きて帰ってこれたら買いにいけよ」
「生きて帰ってくるにきまってるでしょ!」

 シズカは苦笑しながら、はるの服装にはあきれてものも言えないようだった。
 キリクがいるというのに、はるは全く気付いていないようで着替え始めた。
 シズカが自分の額に手をやった。

「あっちゃ〜…はるのバカ…」
「あ、あ…あの…はる様」

 平常心…平常心とキリクはそう心の中でつぶやきながら、はるの名前を呼んだ。
 別に裸になっているわけではない。
 そこまで取り乱すことでもないのだ。
 はるがキリクの声に振り向いた。

「えっ…?キリクさん?
 …えぇっ〜〜〜!!ヘンタイ!!」
「はる様、そうでは…」
「キリクさん、なんで言ってくれないんですかぁ!!」
「そ、そうではないんですが…」
「はる、あんたが勝手に着替えだしたの。
 キリク、すごく困ってたのに気づかないから」

 シズカはキリクがこれ以上言われてしまわないように言った。
 はるは顔を赤くしながらもシズカの言葉に納得しつつ準備を整えた。
 その間、キリクは後ろをみていた。

「時間がありません。このベランダから飛び降ります!」

 支度の整ったはるとシズカに向けてキリクは言った。

「えっ…えっ〜〜!?」
「いけるよ!キリク!」

 困り慌てふためいているはるをよそにシズカは手すりを乗り越え飛び降りていった。
 キリクは、はるに「失礼します」と断りをいれ抱き上げると簡単におりていった。

(リーク、緑木…2人を死なせはしない)
(スカル…うちはあんたを守りたい)
(ライ様、すぐに参ります…どうか、それまで…)

 3人は思い思いの気持ちを心の中で募らせていた。
 そして、今対峙しているであろうライたちのもとへ急いで向かった。
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