番外編内容

□持ってきたもの
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 私たち人間界からヴァンパイアの世界に戻ってきた3人は共有スペースのリビングで整理をしていました。

 シズカがナツミのカバンをみて何を持ってきたのかと興味を示した。

「私が持ってきたものは…CDと音楽が聴けるように小型の音楽プレーヤーと携帯にあとゲームと…」

 ナツミがいっぱい出していく中で、ふとシズカが自分のカバンから携帯を出した。
 はるもつられて携帯を取り出す。
 そして携帯の画面をみてシズカの顔が固まり始めた。

「な、なぁ…もしかしたらだけど…携帯使えないんじゃない?」

 画面の上に表示されたのは圏外と言う文字。
 シズカは、はると顔を見合わせた。

「シズカさん、私のも圏外に…」
「だよね…」
「えっ〜〜〜!!
 携帯使えないとか、めちゃくちゃ不便じゃん!!」

 そう嘆きの声をあげたのはナツミだった。
 自分の携帯をみてガックリと肩を落とす。

「なつみん、携帯のゲームにはまってたもんね」
「そうだよ〜…もうショック」
「うちも携帯使って、好きな画像とか見てたのになぁ…」

 3人がそれぞれうなだれていると、ライたちが部屋に入ってきた。
 3人の様子をみてから手に持っている携帯に目をやる。

「そのオモチャみたいなものはなんだ?」
「えっ…お父様、携帯知らないの?」
「携帯??」

 ナツミに携帯を見せられてライは首をかしげ後ろにいるスカルとリークを見た。
 しかし2人も顔を横にふる。
 シズカもはるも呆気にとられていて言葉が出ない。
 すると、イアルが携帯をジッとみて口を開いた。

「これは…ライ様、俺たちが人間界に行ったときに人間が耳にあてたり、いじりながら歩いていたものでは?」
「そういわれると形が似ているな…。
 その携帯とかいうものをいじっていた奴がぶつかってきて腹がたったが」

 ムッとした表情になり携帯に目をもどした。
 どうやら、ライは携帯をいじりながら歩いていた人にぶつかられたらしい。
 よけなかったんだなぁ…と思いつつかわいた笑いをもらす。
 

 そうしているとリークが、はるのそばにいき携帯を興味深そうにみた。

「へぇ…人間ってこんなものを使って連絡を取り合っているのか」
「そうだよ。ここは圏外で使えないけど電話をかけることができて相手の声を聴くことができるの」

 はるにそういわれて、リークは携帯をかりてあちこちをみる。
 リークの手が画面に触れて携帯が反応し画面がスクロールするとリークが目をパチクリとさせた。

「なんだ、これ!!」
「あー、タッチパネル式で…」
「すごいなぁ!!」

 リークは子どものように何度も画面をなぞりページをめくる。
 はるが教えつつ写真をみたりしていた。

 
 スカルもまた不思議そうに携帯をみていた。
 おそるおそる触れてスカルは顔をしかめる。

「スカルも知らないんだよな?」
「知らない…初めてみるし触る」
「うちは、そっちの方が驚きだよ。
 まさか携帯を知らないなんて…ヴァンパイアって、ある意味不便だよな」

 シズカは笑いながら言う。
 人間界で携帯を知らないものは、ほとんどいないはずだ。
 日本とは違う国ならわからないでもないが、それでも知っている人間の方が多いはずだ。
 持っていないという人はいるかもしれないが知らないと言うのは本当に珍しい。
 ヴァンパイアはどうやって連絡をとっているのだろうと逆に不思議に思う。
 そう思いながら、ふとイアルとキリクに目が行く。
 まさかな…と思いつつ視線をスカルに戻す。

「スカルもみるか?」
「いいのか?」
「いいよ。壊すなよ?
 使えないけど写真とか入ってるし」
「わかってる」

 スカルは携帯を持つと画面に触った。
 いろんな部分を押してみると電話帳というところをひらいた。

「シズカ、これは…?」
「それは、電話帳だよ」
「いろいろあるんだな…」

 スカルが感心しているとナツミがライにシズカが気になっていたことを聞いた。

「ねぇ、お父様どうやってヴァンパイアは連絡を取り合っているの?」
「それ私も気になるよ!ライさん!!」
「うちもうちも!!」

 3人が言うとライは携帯を見てから教えてくれた。

「俺たちは使者を遣わせたり自分から赴いたりするんだ。
 ほとんど、イアルとキリクが動いてくれているが…」

 シズカはげっそりとした。
 自分が考えていたことを、まさかそのまま言われるとは思わなかった。
 すると、キリクがそばに来てシズカに微笑んだ。

「ご名答でしたね。シズカ様」
「気づいてたの?!キリク」
「えぇ…シズカ様がこちらを向かれたときにそう思いまして」
「すごいなぁ、キリクって」

 シズカはジッとキリクを見ながら言った。
 優しそうな顔をして、よくみているのだとシズカは思った。
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