番外編内容

□友だち
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 ナツミ・シズカ・はるは、
 もちろん最初から親しかったわけでは、ありません。
 これは、その3人が友だちとなるまでの話…

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 ナツミは、中学校の入学式に出席していた。
 知らない人たちが多く不安で仕方がない。
 
 式を終え、わりふられたクラスに向かった。
 自分には昔からの友人というものがなく、小学校でできた友人も他のクラスになってしまい
 新たに一緒にいる人を考えなければならなかった。
 というのも、私は小学生の途中で県外から引っ越してきた。
 昔からの友だちなんて、みんな他県にいる。

 
「なんで、引っ越したんだか…」

 がっくりと肩を落とし、大きなため息をつく。
 あたりを見回しても、みんな仲のいい子と話していて話しかけられる雰囲気ではない。
 ふと、自分と同じように1人でいる子を見つけた。
 その子は、私と同じように1人で席に座っていた。
 視線の先には、時計があって動く秒針を見つめている。

(不思議な子…)

 みんなとは、どこか違った雰囲気をもつ子だった。
 それからというものの、私はその子が気になっていた。
 話しかけてみたいけれど話しかけられない。
 自己紹介があって、その子の名前がはるだというのがわかった。

 
 はるは、入学式の時ぼんやりしていた。
 あんまり親しい人もいないし、無理して話そうとも思わない。
 クラスに入って自分の席につく。
 することもなくて、時計に目をやった。
 早く終わらないかなぁ…と思う。
 そうしていると、視線を感じて目をやると1人の女の子がいた。
 自分と同じように机に座っている。
 その日は、話すことなく終えた。

(みんなとは違う感じの子だったなぁ…)

 入学式を終えた夜、床についてはるは思った。
 話すことができたらなぁ…と、思うが人見知りがあってなかなか自分から話に行くことはできそうになかった。
 こんな自分が嫌になってしまう。
 きっと、あの子も私を根暗とか思ったんだろうなぁと考えながら眠りについた。

 それから、しばらくして自己紹介があり、はるもそこで最近自分を見ている子がナツミだということを知った。

 しかし、名前までは分かったもののなかなかお互いに話せないでいた。

(話しかけてみようかなぁ…でも、いきなり話しかけたら、はるちゃん嫌がるよね…はぁ)
(ナツミちゃんとは、よく目が合うのに話しかけられないなんて…私のバカバカ!!)

 2人して話しかけられないもどかしさに頭を悩ませていた。

 そんなある日、転校生がやってきた。
 名前をシズカというらしく、話しやすい感じの子だった。
 転校生だというのに、すぐにみんなと打ち解けていく。
 すごいなぁ…としか2人は思えなかった。

 シズカは、自己紹介をするときにナツミとはると目が合っていた。
 みんなと目が合うのは当たり前なのだが、なぜか頭の中に2人の姿が残っていた。
 不思議なことに2人を見ているとお互いがお互いを気にしているのに話すということをしていなかった。

(馬鹿なのか…?)

 そう思いつつも、日常でそんな2人を見ているとだんだんイライラしてきた。
 話せばいいのに、2人して話さない…。
 こういうはっきりしないのは、うちは好きじゃない。
 みんなから、その2人がナツミとはるという名前だというのを聞いた。
 なにかきっかけがあれば…とシズカは、その日から悩みだした。


 1か月が経過したとき、宿泊研修が行事として行われることになった。
 シズカは、それを聞いて(これだ!)と心の中で思った。
 先生がグループをつくるように言う。

「3人で男女分かれてつくってくださいね」

 シズカは、いろんな子から誘われていたが全て断りズンズンと2人の元まで足を進めると2人の手をとった。
 2人が驚いた声をあげる。

「先生、うちはこの2人と組みます」
「わかりました」

 2人の気持ちのことなど素知らぬ顔をして無視し席につく。
 これで、やっと何とかできるとシズカは心の中でガッツポーズをとっていた。
 普段は誰かのためにここまで動こうとは思わないのだが、なぜか2人のことをほおっておけなかった。
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