番外編内容
□夏といえば…
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ジリジリとやけるような熱気と蒸し暑さを感じながら、ナツミは額から流れ落ちる汗を拭った。
今は夏、ヴァンパイアの世界にも夏はあり人間界と変わらぬ暑さが猛威をふるっていた。
「あ、あつ…」
ナツミは、そういって買ってきたばかりのアイスに目をやる。
ジャンケンで負けて、みんなの分のアイスを買いに外にでていたのだが照りつける太陽に心が半ば折れかけていた。
なんとか、城の前までたどり着き城のメイドに冷やすように渡してから、みんなが集まる部屋に向かった。
「おっ!帰ってきた!
ナツミ、暑くなかった?」
扉を開けるとシズカが少し笑みを口元に滲ませつつ言う。
はるが心配そうに見てきたので、私は笑みを向け大丈夫と告げた。
「ナツミ」と名前を呼ばれ、そちらの方をみると、そこにはリバルの姿があった。
「おじ様!きてたの??」
「あぁ、今さっき来たんだよ」
「そっか」とほほえんでから、はたと気付いた。
その時にはリバルはいなくて、アイスが1つ足りないことに…。
そんなナツミに気づいたのか、リバルはナツミの頭に手をおいて目をあわせる。
「ありがとう、ナツミ。
俺は、いらないから大丈夫だよ」
「ごめんね…もう1つ多く買ってくればよかった」
リバルのことを考えると申し訳なくなり、ナツミはうなだれた。
そんなナツミにリバルが声をかけようとしたところで、違う人物の声によって遮られた。
「ナツミ、そいつがいらないって言ってるんだからそんな気にしなくていいんだよ…ね?リバル」
その声の主を見てリバルは目をすがめた。
はるとシズカがまたかと言わんばかりにため息をつく。
「スイル、お前の言うことは最もだが相変わらず言葉にトゲがあるきがするが気のせいか?」
「そう?僕は普通に話してるだけなんだけど?」
今にも、ぶつかりそうな2人のところに苦笑しつつ入ってきたのは、リークとスカルだった。
「2人は、相変わらずだなぁ…。
スカル、スイルをとめないのか?」
「いや、とめてもだいたい言い返されて終わりなんだ」
「それもそうか…」
スカルの言葉にリークはアハハと乾いた笑いを漏らすしかできない。
兄とはいえ、スカルですらスイルをとめられないのだ。
やれやれと困っていると、いつからそこにいたであろうライがリバルの肩を叩く。
「兄貴、そこらへんにしたらどうだ?」
「ライか…ケンカを先にうってきたのはそっちだけど」
「それは分かってるが、スイルのことは兄貴もよく分かってるんじゃないか?」
そう、ライが言うようにスイルは自分の愛しい相手のこととなると、全てお構いなしに目の敵にしてしまう。
そのことは、ここにいる全員いやスイルとナツミに関わっている人たちには基本となっていた。
「スイル、お前もいい加減やめたほうがいい」
「兄さんがそういうなら仕方ないね…」
まだ何か言いたげにリバルを一瞥したが、スイルは黙って身を引いた。
リバルも肩をすくめ、ナツミに微笑んでみせる。
その場の雰囲気が和んだところで、ナツミが思い出したように手を打った。
キラキラと目を輝かせているナツミをみてシズカが頭を抱え、はるは苦笑を浮かべる。
「ねぇ、みんな!!
せっかく夏なんだしさ、夏らしいことしようよ!」
「夏らしいこと??」
ナツミの言葉にみんなが声をそろえて首を傾げる。
そんなみんなにナツミは大きくうなずいてみせ、リバルとライの手を取った。
「おじ様もお父様もだからね!」
「あ、あぁ」
ナツミの勢いに2人はただうなずいてみせる。
シズカとはるも言い出したらとまらないナツミをよくわかっており、2人で顔を見合わせた。
「なら、ミナミやまっひーも呼んでこないとな〜」
「そうだね、シズカさん。
緑木やイアルさんたちも呼ばなきゃ」
「はる、イアルとキリクならいるから呼ばなくて大丈夫だよ」
リークがそういって、扉付近を指さしそちらを見るとそこには気配を全く感じることのなかった2人がそこにいた。
「気付かなかった…。
じゃあ、あとはミナミさんたちだね」
「それじゃあ、呼んでくるか!」
そう言うとシズカとはるは部屋を出て行った。
そんな中、ナツミは鼻歌を歌い機嫌が良いみたいだった。