番外編内容
□聖夜の願い
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今日は7月7日…。
夜になり活動時間となったナツミとシズカとはるの3人は前日から用意していた笹と短冊を手に共有スペースに集まっていた。
「なつみん!お願いすること決まった?」
「う〜ん…いっぱいあって」
「欲張っちゃだめだぞ〜」
悩むナツミにシズカは苦笑気味に言った。
そんなシズカにナツミは「は〜い」と返事をすると、また短冊と向かい合い願い事を考え始めた。
「シズカさんは決まった?」
「うち?そうだなぁ…」
「まだ決まってないんだね」
眉間にしわをよせ考え始めたシズカを見つつ、はるも自分の願いごとを何にしようかと考え始めた時、扉が開く音がした。
部屋に入ってきたのはミナミであくびをしつつ3人に目をやった。
「おはよ…、3人とも、それって七夕の?」
ミナミが聞くと3人は顔をあげうなずいて見せた。
そして、ナツミが短冊と笹を見せてミナミに質問を投げかけた。
「ヴァンパイアの世界にも七夕ってあるよね?」
「七夕かぁ…どうだろう」
「え…えっ〜!?」
ナツミが驚きの声をあげ残念そうに息をついている中、シズカとはるは困ったように顔を見合わせた。
七夕というのも、人間界でそれほど重要な行事ではなかったものの、やはりあったほうがいいと3人は考えていたのだ。
「ミナミさん、天の川もないの?」
「私も人間界に行ってたから…あまり覚えていないんだよね」
ごめんねと謝るミナミに、はるは首を横に振ってみせた。
そして、どうしようかと3人は悩み始めた。
そんな3人の様子をみてミナミが口を開く。
「あのさ、ライに聞いてみたらいいんじゃないかな?
ライじゃなくても、スカルとかスイルもいるわけだし…」
「そっか!お父様に聞いてみればいいんだよ!」
ナツミは、そう声を上げると1人立ち上がり短冊を手に走り出した。
シズカとはるは、そんなナツミをみて苦笑しつつ待っていることにした。
シズカがあっと思い出したように声をあげたかと思うとミナミに短冊を差し出した。
「えっ?」
「ミナミも願い事書きなよ」
「そうだね!
ミナミさんもお願いしよ」
2人にそう言われミナミは少し困りながらも差し出された短冊を手に取った。
自分の願い事など、星に願ったところで叶うまい…。
そうは分かりつつ2人の心遣いを無駄にしたくなくてミナミは短冊に願い事を書くことにした。
ただし、ここにいる者たちに見られてもいい願い事で…そして、心のどこかで願ってしまっていることを書こうと決めて。