短編・リクエストの小説置き場

□最強黒子〜キセキならざるキセキ〜
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勝ったんだ…火神君や先輩達の歓喜の声を聞いてやっと実感した。涙が出てくる。


赤司君が清々しい顔で握手を求めてきて、やっとキセキ全員に勝ったことが理解できた。

それからはあっという間で、表彰式が終わり気が抜けた途端記者に囲まれた。僕以外ですけど…


でも、それでも本当に嬉しかった。


1人で喜びを噛み締めていると、影の薄い僕に1人の記者が近づいてきた。


「黒子くん」


「佐藤さんですか?」


僕が小学生の時に取材を受けたことがある佐藤さんがいた。


「優勝おめでとう!小学生の時とプレイスタイルが変わっていて、最初あの黒子くんだとは気づかなかったわ…」


「僕は荻原君としかあのプレイスタイルでやらないと誓ったので…」


「そうだったわね…じゃあ、今年から『旧黒子のバスケ』が復活ね!!」


そう言って佐藤さんは勢いよく後ろを向いて、客席を指した。


「黒子ーーーーー!!」


「荻原君…」


そこには、バスケットボールを持って手をブンブン振る荻原君がいた。


「俺、またバスケ始めたから!またバスケ一緒にしようぜ!」


また一緒にやれるんだ…自然と笑顔がこぼれた。


「取材のために、1回だけ『旧黒子のバスケ』やってくれない?『4年前のバスケ界の王が復活!』って記事が書きたいのよ!」


伺うように荻原君を見ると、親指をたててニカッと笑った。


「黒子ーーー!!ブチカマセ!!」


僕は変わっていない荻原君にクスッと笑った。

こちらを向いている多数の視線なんて気にならなかった。


「1回だけですよ?」


バスケットボールを手にコートに出ていく。

コートの真ん中で立ち止まると息を吐いた。

この痺れる感じが懐かしい。


その場でゆっくりとドリブルをすると一気に加速した。

これが今の僕の最大速度だ。
そして、回転をつけて思いっきり跳んだ。

内臓がフワッと浮く感じがしたと同時にリングに手がかかる。


ガゴン


あぁ、この感じ…
荻原君といつでもまた一緒にできるように練習したかいがあった。


ダンクは成功だ。


会場が静かになっていた。


黒子のバスケの始まりだ…

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