短編・リクエストの小説置き場

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まあ、そんなわけで俺達7人はぞろぞろ帰っていた。
11月の5時半はすっかり日も沈み夜となっていた。
俺はあいつらの2メートルくらい後ろをついていった。
前では、涼太を中心てしたやつらがテツヤを取り囲んで騒いでいる。


「黒子っちの誕生日っていつなんスか?」


「僕は1月31日です。皆さんはいつ何ですか?」


そんな会話が前からきこえた。
(へー、テツヤの誕生日って冬なのか。まさにそんな感じだな。)
俺がそんなことを考えながら、テツヤの後頭部を見ていたら、急にテツヤが後ろを振り向いた。


「灰崎くんの誕生日っていつですか?」



「えっ!あっえー、今日だ。」


俺がいきなりの質問にどもりながら言うとテツヤは目を見開いた。


「えっ!今日何ですか!!」

テツヤはそう言うと制服のポケットをごそごそとし始めた。
そして、小さくあったと言うと俺のところまで来て、手をつきだしてきた。


「すみません、今日とは知らなかったので、こんなものしかありませんが…」


そこで言葉を区切ると、今までの困った顔をにっこりとさせた。


「お誕生日おめでとうございます!!灰崎くん。」


そう言って、バニラ味のあめを差し出した。
俺はそれを受けとると照れる顔をかくしてサンキュっと小さく言った。



テツヤの後ろでカラフル達がにらんでいるのも気がつかずに…




11月3日。今日は文化の日で学校も部活も休みだ。なのになぜかあの赤い魔王からメールが来た。
【午後1時に部室に来い。】

(俺、あいつにメアド教えたことないはずなのにな…)
今は正午、走ればギリ間に合う。
俺は急いで着替えて学校に向かった。
部室に着いたのはちょうど、1時。危なかったと思いながらドアをあけると、そこには赤司、緑間、紫原、青峰、黄瀬のカラフル五人がいた。
しかも笑っている。


「え…と、なんだ?」


俺がおそるおそる聞くと、代表するように赤司が口を開いた。


「部員の誕生日は祝ってやらないとなって思ってな!」


「嫌!そんな気遣いいらねーから、まじで!」


赤司はそんなこと聞こえなかったように右手を上げた。


「プレゼント用意…」


赤司がそう言うと、青峰、紫原、黄瀬は手を後ろにし、戦闘体勢のように腰を低くした。


「はじめ!!」


そう言った瞬間に一斉に三人は走ってきた。
俺は体が動かず三人が向かって来るのを見ていることしかできなかった。


青「ハッピーバースデー(俺はテツに祝ってもらったことないのによーフザケンナよ!!)」


紫「おめでとー、崎ちん(黒ちんからお菓子もらうなんて、マジでありえないしー)」


黄「お誕生日おめでとうショ・ウ・ゴ君★(なに、黒子っちからもらってんだよ)」


三人がおめでとうと言いながら走ってきた。パイを持って。
俺は一瞬で顔や体がクリームだらけになった。
(誕生日祝いにパイ投げをやるか!)
俺が床に倒れている間に真太郎が近づいてきた。
視界がやっと見えるようになったとき真太郎が俺の目の前に短刀をつきだしてきた。


「昨日のさそり座のラッキーアイテムなのだよ。これを使って切腹すれば(俺が)運気アップになるそうなのだよ。」


「俺が死ぬだろーが!!運気アップどころの話じゃねーよ!!」


俺が叫んでいると征十郎が絶対零度の笑顔で近づいてきた。


「灰崎、俺からはケーキをあげよう。でも、普通のケーキじゃつまんないから、ロシアンルーレット形式にしたよ。」


「何個がハズレで、それはどうなってんだよ…」


「10個中9個がハズレで、その9個は桃井が作ったケーキだ。俺がわからないようにデコレーションしといた。」


俺がケーキを見て固まっていると、征十郎は笑いなが
ら言ってきた。


「俺も1個のケーキを食べよう。だからお前も1個のケーキを選んで食べるんだ。」


俺がしぶっていると、畳み掛けるようにさぁと言ってくる。
俺は覚悟を決めひとつの皿を選んだ。
征十郎もひとつの皿を選びほほえんだ。


「さぁ、食べようか。」


俺と征十郎は同時にケーキを食べた。
食べた瞬間俺は意識をなくした。
ただ、なくす直前に征十郎が微笑んでいるのが見えた。










三年前の今日はマジで怖かった。
あのあとの記憶はないし、それから征十郎は練習三倍にしてくるし…


でも、今年はこの日をテツヤと一緒に過ごせるんだな。
俺はチラッとテツヤの方を見た。
するとテツヤは飴を差し出してきた。


「日にちを間違えてしまってすみません。お誕生日おめでとうございます。」


「おうっ!!」


俺は満面の笑みで答えた。


その時携帯が鳴った



【from征十郎
今すぐに今いる図書館の裏の駐車場に来い。




ハッピーバースdeath
灰崎くん♪】







あっ、俺死んだ…

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