本棚 長編
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黒子は緊張したおももちで、教室に向け一歩踏み出した。
担「今日からこのクラスの仲間になる黒子テツヤくんだ。」
黒子は教室に入ったとたん、一瞬固まった。
だが、担任の言葉で呼び戻され、気をとりなおした。
黒「黒子テツヤです。よろしくお願いします。」
最初、黒子を認識できない人がたくさんいた。
しかし、黒子が声を発したことにより、みんなが黒子に注目する。
そしてその時クラスの全員がまず目にいったのは、黒子の頭だった。
クラスの問題児である灰崎と同じ髪型をしているのだ。
クラスの人々は横目でいつもはホームルームに参加しない灰崎を見た。
そして転校生である黒子をよくよく見てみると、とても可愛らしい顔立ちをした男の子であった。
クラスの人1(背は平均…いや、少し小さいな…)
クラスの人2(目大きい!!顔、小さ〜!)
クラスの人3(髪と瞳きれいな水色だな〜)
だから一層、その髪型が似合わなく、目立ってしまう。クラス全員はもったいないと残念に思った。
そしてこんなに目立つ容姿なのに、なぜ私達は気づかなかったのだろうとクラスの人々は思いながら、担任に指示された灰崎の横の席に行く転校生の黒子を眺めていたのだった。
そしてクラスの人々みな同じ事を思っていた。
クラス全員((((((((((こんなに可愛い黒子くんが、灰崎と同じ問題児ではありませんように!!))))))))))
と…
そして黒子は灰崎の横まで行くと、灰崎に向けて何か囁いたのだった。
しかし、それに気づいたクラスメイトはいなかった。
そしてそれを聞いたとたん灰崎は顔を真っ青にし、その隣の席で黒子は黒い笑みを浮かべていたことも…
気づかなかったのである。
※黒子視点※
僕は新しい環境にドキドキしながら教室に向け一歩踏み出した。
担「今日からこのクラスの仲間になる黒子テツヤくんだ。」
担任の先生の言葉により、下げていた視線を前に向け、教室をみわたした。
僕を見て様々な反応を僕のクラスメイトとなる人達がしている。しかし、その教室に僕は違和感を抱いた。
そして、僕はあることに気づいてかたまってしまった。
いや、違和感と言ってもおかしいところなどない。
僕はあまりにも、普通の学校と同じだったことに疑問を抱いたのだ。
灰崎くんの言ってたことと違うのだ…………
そう…
みんなの髪型がコーンロウではないのだ。
灰崎の野郎のうそに、騙された僕の情けなさに、怒りを覚えたが、それでも、僕はとりみださず、いつものポーカーフェイスで自己紹介をした。
自分の名前を述べた後、確認の意味を込めて、もう一度ぐるっと教室を見渡してみた。
しかし、コーンロウの姿は窓際の列の後ろから二番目に座っている灰色の頭のやつしかいないのだ。
黒(ちっ、どうゆうことか、後で説明してもらいましょうか?……灰崎くん?)
僕は心の中で灰崎をみながら言うと、それに灰崎くんは伝わったのか、肩をびくりとふるわせたのだった。
僕はこれから灰崎くんへの躾をどうするか考えながら席に向かった。
※灰崎視点※
うわぁぁぁぁー!!ヤベーテツヤにばれちまう!
教室まで歩いていると、ホームルームの時間だからか誰にも会わなかった。
だが、バレない時間が伸びただけで、教室に入ったらどうせばれちまう!
ドレッドヘア(※コーンロウのことです。)が校則ではないことが…!!!
周りの奴らが、ホームルームから来るのがめずらしいのか、チラチラとこっちを見てきたが、俺は気にせずガバッと机の上で頭を抱え込んだ。
マジでヤベーぞ!あいつのことなら俺のあたまを坊主にしかねない!!
うわぁぁぁぁ、自分で言っといてなんだが、あいつがバリカン持ってめっちゃいい笑顔で笑っているのが目に浮かびやがる!
いや、もしかしたら坊主ではなく、女装させられて校庭走らされるかもしんねー(中学時代、大輝がテツヤを怒らせてやらされていた)
ヤベーよ!
大輝の時は面白い以前に見ていられないくらいのひどさだった。
しかも中学だったからまだゴツくなかったのに、高校の俺がやったら絶対通報される!!
俺死ぬ…
まあボコボコにされんのは決定だな…
そう考えていると、ドアが開いて、担任が入ってきた。
担「おはよう!今日から新しい仲間になる人がきました。入ってきて下さい。」
おいおいセンコーもっと先生の話とかあるだろう!!
いかなりきて、『入ってきて下さい』とか早すぎんだろ!
もうちょっと、心の準備ができるまで待ってくれ、いやあと五分でもいい!とにかく待って下さい!!
しかし、そんな俺の心の声も届かず、無情にもいつもより重くガラガラという音をたて、教室のドアがあいた。
そして、そのドアから先程もみた俺の髪型と同じ、しかし俺と違いきれいな水色をした、顔は天使だが俺にとっては死神が入ってきた。
コツコツというあいつの足音がやけに大きく聞こえた。
その音に耳を塞ぎたくなったが、我慢し、机の一点をただ見つめうつむいていた。
黒「はじめまして、黒子テツヤです。よろしくお願いします。」
いつもは可愛らしく、癒しとなる声が今日は悪魔の恐ろしい声にしか聞こえなかった。
俺はびくびくしながら、テツヤがどんな顔をしているのか顔をあげた。すると、テツヤはあまり怒ってないのか、いつものポーカーフェイスだったことに俺は安堵した。
しかし、直後テツヤと目があった。すると、テツヤは今までテツヤと長く接して来た奴らにしかわからない笑みを浮かべていた。
しかも黒い、真っ黒い笑みを…
あぁぁぁぁ俺は死んだ。
俺はこれから起こるべきことを考えると真っ白になったのだった。
しかしテツヤは俺が真っ白になっているのもお構いなしに、俺の席の隣である自分の席に向けて、足音大きく近づいてきた。
そして、足音は俺の横で止まり、俺の耳に囁いてきた。
黒「覚えていろよ」
普段の敬語はどこいってしまったんだくらいの荒く、ドスの聞いた声で言った。
囁いているはずなのに、妙に迫力があり、思わずよけてしまうほどだった。
帝光時代の魔王(※赤い人という特定はしてはいけません)を思い出す笑みを浮かべながら俺の隣の席に着いた。
あー神よ!赤司様よ!ホームルームが終わるまでに俺の頭にいい案をくれ!!
そう思いながら灰崎は頭を抱えるのだった。