トウラブ

□獅子王は困惑している
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「今日は一段とひやいにゃあ・・・」「そうだな。」「・・・熱燗でも飲みたいにゃぁ」「いいな、つまみになる物を用意して火鉢にあたりながらきゅーっとやりたいな。」

のんびりと鶴丸の背中に寄りかかりながらも陸奧守が本を読みつつ話しかけると鶴丸も嬉しそうに同意しつつ何かの作業を続けていた

「・・・なにしてんだ?あれ。」と獅子王が言うと近くに居た乱が「むっちゃんが本読んでたら鶴ちゃんが来て背中かしてっていって、なんだかんだでああなったみたい。」って言いつつ可愛いらしい女の子の映ってるファッション誌をぺらりとめくる。

「へー・・・。」と獅子王が気のない返事をすると陸奧守が「獅子王も今夜一緒に酒飲むがか?良い酒ありゆうがよ」と言いだした

それを聞いた途端に鶴丸の方から何とも言えないドス黒い物がにじみ出るのが分かった
しかし陸奧守はわかっていないのか、獅子王にむかってニコニコと笑みを浮かべている
「ほいたら熱燗と火鉢は止してこたつで暖かいその酒にしよかね。二人だけやったら火鉢で充分やったが三人やったらこたつのがぬくいねあ♪にゃあ、つるさん?」
ことのほか嬉しそうに鶴丸の気も知らないと言わんばかりに言い出すのでついには仲間の筈の獅子王に鋭い殺気までにじませる鶴丸との差が凄まじい。

「い、いや、俺は良いよ。明日出陣しねえといけないから遠慮しとく・・・」

獅子王が引きつった顔と気圧された声で何とか言うと陸奧守は「残念じゃにあ。じゃ、又あとにしよなあ。」といって再び本を見始めた

鶴丸がつまらなそうに「陸奧・・・獅子王と飲むきなのか?」と聞くと陸奧守は当然と言った声色で「おん、いけんやろか?儂は獅子王や次郎さんやらともよぉ飲むけん。」といった
割とけろりと言う物なので鶴丸はむすっとしながら陸奧守に深く寄りかかった
「おおのっおもいっちゃ!鶴さん重いぜよ」ケラケラと笑いながら陸奧守が背中を押し返すと鶴丸は作りかけのなにかを放り投げて「・・・なんでそう意地悪するんだ?」といいつつ陸奧守を強く抱きしめた
「なんのことですろうか」と陸奧守がにやけつつも言うと拗ねた口調で鶴丸が「わからないか?こんなにわかりやすく焼き餅焼いてるんだ。これ以上は流石の俺でも限界になるぞ?」といいつつ陸奧守を強く抱きしめた

クスクスと笑う陸奧守に鶴丸が少々本当に悪戯して困らせてやろうかと左手を動かそうとすると乱が「ハイハイ、こんなところで態々僕達に見せつける様にいちゃつかないでよねぇ。ムッちゃんも態と煽んないの!」と二人の仲にわって入った

先程まで良い当て馬状態だった獅子王はなぜ乱が雑誌を見ていたのかが分かった気がした

この二人の行きすぎた惚気やいちゃつきを止められるのは陸奧守達と仲の良い短刀達や脇差達だからだ

「最近どっかの誰かさんが全然てごうてくれんかったから、つい、にゃあ?」と陸奧守が笑いながらも言うと不満そうに鶴丸が「なんだ?乱も俺と陸奧の仲を邪魔する気か?」といいつつ乱の頭をなでた
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