□第一章
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「にゃーお、にゃーお」
「ん、なんだ?」
ここは、東京、池袋。
ある土砂降りの雨の日。
家路を急ぐ匡祥(ただやす)は、近道の路地裏に入り真っ黒な雨傘をさしながら歩いていた。
「にゃーお」
ボロボロのダンボールの中に入っている薄汚れた子猫。
この雨の中外においていたら死んでしまうかもしれない。
「お前捨てられたのか?」
「にゃー」
まるで人間の言葉がわっかっているように返事をする子猫。
「…一緒に来るか?」
「にゃー?」
何の感情かは、分からないが、このまま置いておいたらいけないような感情が芽生えた。
おもむろに子猫を抱き上げた匡祥は、バックの中に入っていたタオルで子猫をくるみ家え、連れて帰った。