Dグレ
□姉。
1ページ/6ページ
コンコン、と控えめな音が耳に入った。
自分の部屋で読書をしていた私ははい、と扉の向こうへと返事をする。
「名無し、主がお呼びだ」
そう言ったのは私の姉のような存在の、「色」のメモリーを持つルル=ベルである。
「千年公が…ですか、今行きます」
本を置いてドアを開けると、スッとしたスーツを着たルルが立っていた。
「ルル、わざわざありがとうございました」
「構わん。主の命令だ」
ルルのいいところはとっても誠実だ。
「千年公が私に何のようでしょうか…仕事ですかね?」
「わからん。まあ主の事だ。可愛がられているお前には、危険な仕事はやらせんだろう」
「…それもそうですね」
ルルは嘘を付かないからこういう時に困ってしまう。
なんというか、照れくさい。
横を歩くルルを盗み見ると背筋をピンとのばしていつものように無表情な顔がそこにあった。
ーーーーーーーーーー
「…ルルと散歩、ですか」
「はい、そうでス♡」
暇そうなのは名無しだけですのデ♡、とマフラーを編みながら言う千年公に苦笑を返す。
ルルと別れた後すぐに千年公の部屋へと向かった。
行って唐突言われたのが、その言葉だった。
「でも何故散歩なんですか?」
「ルル=ベルにはいつもよく働いてもらってるのデ♡」
遠回しにお前最近仕事してねぇだろと言われた気もするがまあいい。
ようするに疲れをリフレッシュしてこいと。
「くれぐれもエクソシストには気をつけてくださいネ♡奴らはどこにでも現れますかラ♡」
釘を刺され、私はルルの元へと足を進めた。
.