shortstory

□夢の中だけでも
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「別れましょう」

え、今なんて……

休日、外にも出ずにゆっくりしていたらいきなり告げられたら一言

「……なんで?」

冷静に聞いたつもりだけど、自分でも驚くぐらい震えていた

「好きな人ができました」

好きな人ができたと言われなにも言い返せない自分
将来
「だから別れてください」

「…………分かった」

本当は別れたくなんてない。
だけどニノの将来を邪魔したくない
ニノが選んだ相手だからとてもいい娘なんだろう

「ありがとうございます」

そう言って荷物を持ち玄関に向かうニノ

さっきまで隣にあった温もりがなくなってそれがもう戻って来ないと思うと胸がしめつけられた

おいらすげぇ女々しいじゃん

「ねぇ、ニノ」

靴を履くニノを呼び止めた

別れるんだったらせめてこれだけは聞きたい

「幸せだった?」

ニノは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにあの可愛い顔で微笑んで「幸せすぎました」と言って出ていった

おいらさニノが出ていった後、リビングに戻り窓から外を見た

ちょうどエントランスの前あたりに見たことのある人物がいた
そして出てきたニノにおしげもなくひまわり笑ような顔を向けていた

そんなふたりの様子を見て
今さらながらニノを手放した事を後悔した
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