暁のヨナ 〜優しき緑の光〜

□第八話:現れた暁の姫君
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「そうだ、目的を忘れるとこだった。僕たちは君に会いに来たんだよ!」


「あ?俺ァもうあーゆー店には行かねエぞ。」


「違う違う。今日は僕はね、」


ジェハはハクの片手を両手で握り締めると、全開の笑顔で言った。


「君が欲しい。」


ジェハの言葉に周りはざわっとすると、2人を見ながらひそひそと話している。

蜜香もこのシーンの事は覚えていなかったのか、ジェハの言葉に顔を引きつらせた。


「俺、そーゆーシュミないんで。ゴメンナサイネ。」


「ああ~~~~っちょっちょっまっ」


早々に立ち去ろうとするハクにジェハは後ろから縋り付くと、慌てたように言葉を続ける。


「違うんだよ、違うんだよ。僕は君の事をイイ男だと思ってっ…ここじゃ何だから、人のいない所で話を…」


「人気のねェ所に行ってどーするつもりだてめェは!!」


「僕は…」


「えーい、うぜェ!!」


引きずられても尚離さず付きまとうジェハにハクは苛立つと、バキッという音を立ててジェハに拳を食らわせる。


『ジェハ!』


蜜香の声にハクはハッとする。


「(…しまった。少し、強く殴りすぎたか…)」


ハクが心配の表情を浮かべてジェハを見ると、ジェハはゆらァ…と起き上がって鼻血を垂らしながらニタリ…と嬉しそうな笑みを浮かべた。


『…………………ひっ。』


「(…わ、笑いやがった。鼻血出てんのに何て嬉しそうな目ェしてやがる。変態だ。)」


ハクが恐ろしいものでも見たような表情をしていると、ジェハが鼻血を拭いながら妖しい笑みを浮かべて言う。


「今の拳…感じたよ…」


「(やべぇ、何か言ってる。こいつは危険だ!!)」


ハクは危機を感じ取ると、ダッと走って逃げ出した。

ジェハは、走り出したハクに微笑を向ける。


「僕から逃げられると……!!」


『きやっ!?』


ジェハは何かを感じ取ったのか、急に蜜香を抱き上げると高く跳躍した。

屋根の上に降り立つと、ジェハは蜜香を下ろして焦った表情を見せる。


「ふー…急にゴメンね、ミツカちゃん。白龍がまた僕たちの近くまで来たから飛んだんだ。」


『ん…大丈夫です。それより、ハクの事はどうしますか?』


「僕は、狙ったエモノは逃がさないからね。しつこいから。口説き直すよ。」


そう言ってジェハは蜜香を再び抱き上げると一歩足を前に出す。


「!(この気配は…)」


ジェハが四龍とは違った別の気配を感じ取った時だった。

ジェハの足元の屋根が2人分の重さに耐えられなかったからか崩れてしまい、ジェハはバランスを崩す。


「わ」


『へ?』


落下する事が分かったジェハは、蜜香が極力怪我を負わないようギュッと抱きしめる。


「わ、わ、わ、わーっ!!」


『きゃーっ!!』


ガラガラガシャーン

派手な音を立てて2人は落下し、辺りに砂煙が舞った。
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