暁のヨナ 〜優しき緑の光〜
□第十五話:四人目の四龍
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蜜香達一行は、最後の四龍・黄龍を探して旅を続けていた。
そろそろ腹ごしらえをしようと思っていた時、急にジェハが東の空へと向かって飛び立つ。
暫くしてジェハは、脇に小鹿を抱えて戻ってきた。
ユンが感心してジェハに言う。
「おぉ、小鹿だ。よく捕まえたね。」
「抱えて飛ぶのがちょっと大変だったけどね。」
「ジェハの脚って本当にすごいわ。」
ヨナも感心して言うのに対し、ハクは腕を組むとジェハに心配げな眼差しを向けて言った。
「ついに天に召されたのかと思ったぜ。突然、東の空に飛んでったから。」
そう言うハクの脳内には、“めしー” と言いながらばびゅーんと飛んでいくジェハの姿が浮かんでいる。
ジェハはハクの脳内の自分を見透かすと苦笑しながら “ハク…僕はもっと華麗に跳んだはずだが?” と小さく言った。
「まぁ、少年時代はこの力を駆使して高華国中を飛びまわっていたからね。」
「そういえばそなた、緑龍の里より逃げたそうだな。一体なぜだ?」
キジャが疑問を抱きジェハに問うと笑みを浮かべているも、真面目に答える。
「なぜ?両手・両足、鎖で繋がれたら君はそれを是として受け入れるかい?」
「鎖!?」
キジャが目を見開いて言うとジェハは真面目な表情をして続ける。
「いたいけな美少年の僕を鎖で縛りつけその白くしなやかな身体は大人達の好奇の目にさらされ、僕は檻の中めくるめく陵辱の日々……」
ジェハの長たらしい説明にユンは呆れた眼差しを向ける。
「ちょっと、美少年とかキャラかぶらないでよね。」
「えっ、えっ、ええ??意味がわからない!緑龍の里!!」
キジャが両手を頬に当てながら青ざめ疑問符を飛ばしていると、ハクが呆れた眼差しで突っ込む。
「あまり信じるな。恐らく、妄想入ってんぞ。」
それに更に蜜香が突っ込む。
『“恐らく” じゃなくて “だいぶ” だと思うよ、ハク。』
「代々、生まれてくる緑龍はそうなる運命なんだよ。」
「代々!?」
ジェハの言葉に、キジャは更に目を見開いて驚いた。
「まああれだろ?跳ばずにおれない性なんだろ、緑龍ってヤツは。そんな能力あるから。」
ハクの冷静な見解に、ジェハは背を向けながら暴露する。
「ま、実はそうなんだよね!ほっとくとすぐ空に消えてくんだよね、緑龍は。」
蜜香は苦笑しながら言った。
『…阿波に居た時もそうでしたもんね…さすが緑龍。』
ヨナはジェハを見上げると期待した眼差しを向けて言う。
「でも、ジェハがこんなに速いなら黄龍がどこかにいても、すぐに追いかけて見つけられそうね。」