『届かない真実』 完結
□6.合同練習
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今夜、いつもの場所で会おう
リョーマの元に、同じ内容のメールが二通届いた。
言わずもがな、幸村と跡部である。
真田と宍戸は呆れながらも、快く行って来いと背中を押してくれた。
リョーマはラケットを持つと、誰にも見つからないように(抜け道を通って)外に出た。
この抜け道は、幼いころ、三人で監視者………基、世話役から隠れて外に出るために作ったものだ。
「景吾!精市!!」
リョーマは、二人の姿を見つけると、後ろから飛びついた。
「「リョーマ!!」」
「久しぶりだね。ここに来るの」
普段の生意気な笑みとは違い、柔らかな笑みを見せるリョーマに、二人はそっと顔を見合わせ、ほほ笑んだ。
二人にとって、リョーマの笑顔が何よりの喜びなのだ。
………一度、あのリョーマを知ってから。
「テニスしよ?」
かわいらしく首を傾げるリョーマに、二人は勢いよく頷いた。
パーン パーン
ラリーが続く中、他愛もない話に花を咲かせる三人。
たった一球に10分も使うほど………
「リョーマ、青学はどうだ?」
「楽しいよ?強い人いるし」
「全く、何で青学になんか。立海に来ればよかったのに」
「アーン?氷帝の間違いだろーが」
「絶対、立海!!みんな、リョーマを大切にするよ?」
「ハッ、氷帝なら退屈させねぇーぜ?200人もいるし、楽しめるだろ」
「………青学は親父がいたとこだし、家から近いし」
「「なら俺/僕の家にっ!!」」
「………両親から離れられると思う?」
「「うっ……」」
「……今度こそ、母さん、壊れちゃうよ」
その理由を知る二人は、だまらずにはいられなかった。
球を打ち続ける音だけが聞こえる。
とても………静かな夜だった。
7.最終日