NARUTO長編(仮)

□1.出会い(ナルトver)
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「蒼煉、これが今回の任務じゃ」

『今回はSランクか』


蒼煉と呼ばれた青年は、火影から書類を受け取ると、目を通した。

腰ぐらいまである蒼い髪を一つに束ね、唯一見える、紅い目。

15歳ぐらいだろうか。

そして、木の葉では禁忌とされ、総隊長のみがつけることを許された狐の仮面。


『了解』


蒼煉は、書類を全て読み終えると、ポンッと上に放り投げた。

すると、その書類は、見る見るうちに燃えて灰もなくなくなった。


「気を付けるのじゃぞ?」

『分かってる』

「出口は扉じゃぞ?そこは出口じゃ……」


ひらり……




火影の言葉が終わらないうちに、蒼煉は窓から外に身を投げた。

そのまま、真っ暗な闇の中に姿を消す。


「はあ〜〜」


いっても聞かない様子に、火影はため息をついた。





























『さて、とっとと終わらすか』


蒼煉は、そう呟くと、細い糸のようなものを取り出した。鋼糸だ。

チャクラを流し、張り巡らす。一瞬の気のゆるみも許されない。


………失敗すれば、自分でさえ殺すことができる。





近づいてくる気配は、30弱。ほとんどが、暗部並みの力の持ち主だと分かる。


『いつものことながら、大群だな』


蒼煉は気配を完璧に消して、敵が糸の中に入ってくるのを待った。


―――ボソボソ


小さな声で、誰かが話してるのが聞こえる。



『丸聞こえだっつーの』



敵が全員張り巡らせた糸の中に入ったことを確かめると、手に持った糸を引っ張った。


「ぐああああ…………!!」


叫び声があちこちで上がる。


『終わりだ』


蒼煉はそう呟くや否、糸を思いっきり引っ張った。

糸から、人の身体が刻まれる感触がする。

すでに悲鳴はない。


『任務終了。蒼炎灰滅(そうえんかいめつ)の術』


蒼煉が手をかざすと、あちこちで蒼い炎が上がった。

それは、元々人だった塊を灰残らず、燃やしていく。

死体処理の為の術だ。蒼煉が開発した術でもある。


『さて、帰るか』


生き残りがいないのを確認し、死体が全て燃えて、戦いがあったことすら、分からなくなったのを確認すると、元来た道を引き返した。

ここに来てから掛かった時間は、たったの5分。そのうち、3分は敵が来るまでの時間だ。

















蒼煉は、返り血一つ浴びず、汗一つかかず、火影の部屋まで帰った。

そのまま、扉から入らず、窓から身を滑り込ませる。


『任務終了だ』

「蒼煉!?窓から入るなといつも言っておろう!」


火影が怒鳴っているのを無視し、報告書を提出する。


「はあ……。ケガはないか?」

『ない。返り血も浴びてないしな』

「そうか」


火影は、蒼煉の顔を見ると、少し悲しそうな顔をし、ホッとした表情になった。


「さあ、もういいだろう?────ナルト」

『じいちゃん、この姿の時は、蒼煉だよ』


ナルトと呼ばれた蒼煉は、少しふくれっ面で印を結んだ。



―――ボンッ



煙を上げて蒼煉が消えた。代わりに、金髪蒼目の少年が出てきた。

どう見ても、5歳ぐらいの子供である。見方によっては、4歳か3歳でも通りそうだ。


「ナルト、おいで」


火影が、腕を伸ばすと、ナルトは素直に火影の腕の中に入った。

優しく包みこむように抱きしめる。

普通の子供の比べて、明らかにやせ細った身体。ほとんど表情がない顔。

火影は、そんなナルトをみて、悲しくなった。


「ちゃんと食事は食べておるか?」

『うん』


「夜は眠れてるかの?」

『うん』


その後も、何個か質問したが、ナルトは、うん、としか言わなかった。


「今日は、もうおやすみ。任務は今のところないからの」

『わかった』


ナルトは素直に頷くと、瞬身の術で火影の腕の中から消えた。

残された火影は、自分の手を見つめ、ため息をついた。










「わしは、あやつに何もしてやれないのか………?」











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