『君が笑顔でいるために』 完結
□3.Visit
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キーンコーンカーンコーン……
ザワザワッ……ガラッ
「席に着けー」
教師が入ってきた途端、席に着きだす1年。
少し3年の教室を見てきたが、大違いだ。
「あー、今まで休んでいたやつが来たんで紹介する。入れ」
ガラガラ――ッ
「越前リョーマ」
「……それだけか?まぁいい。越前はつい最近アメリカから日本に来たからな。分からないことは教えてやれ」
担任の言葉が終わると同時に、少年―――リョーマは一番後ろの窓側の席に着いた。
ここからなら、教室を見渡すことができる。
「(結構いい席じゃん)」
「なぁ、越前!俺は堀尾。部活どうするのか決めてるのか?」
「(うるさい奴)テニス部」
「俺もテニス部なんだぜ!なんだって、テニス歴2年だからな!」
うるさい、やかましい、にぎやかな奴。
さまざまな言葉が浮かぶが、ため息をつくことで振り払う。
堀尾の話は右から左へと聞き流しているリョーマ。
気づけば、テニス部レギュラーの話に変わっていた。
少し、興味を惹かれて耳を傾けた。
………にしても、ずっとしゃべり続けていたのか?
「テニス部のレギュラーはすごいんだぜ!2年の桃ちゃん先輩は、ダンクスマッシュだろ?海堂先輩はスネイク。
3年の乾先輩はデータテニスで、河村先輩はテニスラケットを持ったら性格が変わるんだぜ!バーニング!!ってな」
……まだまだ出てくる。
「大石先輩と菊丸先輩のダブルスは、黄金ペアと呼ばれるぐらい、誰にも負けないすごし、不二先輩は天才と言われるんだ!
何よりすごいのが、部長の手塚先輩!!
誰にも負けないくらい強くて、すごいんだ!まぁ……ちょっと厳しいけどな」
「へぇ〜(面白そう。特に、天才と部長って人)」
内心ワクワクしながらも、リョーマは全く表情を変えなかった。
どうせ、今日は見学。そこで相手の力量を測ればいいだろう。
残りの青学テニス部自慢の話を聞き流しながら、リョーマは放課後を楽しみにしていた。
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