テニス短編

□Merry Christmas&Happy Birthday
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――12月24日




今日はクリスマスイブだ。

町はイルミネーションで彩られていて、誰もが足を止めて見惚れている。




「あ……雪……」




周りと同じように広場の真ん中に飾られたクリスマスツリーを眺めていると、目の前に白いふわふわとした冷たいものが降ってきた。

ここではめずらしいホワイトクリスマスになりそうだ。




「もう一年か……」




他人にはクリスマスイブでしかないが、自分にとってはクリスマスイブだけじゃない。

自分がこの世に生を受けた日だ。

また一つ年を重ねた。

でも決してあの人に追いつくことができない。

2年という差は思った以上に大きかった。




「あーあ……遠いな……」




せっかくのクリスマスイブだからと、部活は早く終わった。

一度家に帰って、着替えてすぐにここに来た。

そんな早く来てもきっと意味はないことは分かっていたのに……




「クリスマスが終わればもう年明けか……」




今年も一緒に初詣に行けるだろうか?

去年はなんだかんだと言いながら結局テニスレギュラー全員で行くことになった。

今年はどうだろう?

予定を合わせて会うことはある。それでも全員が揃うのはめったにない。




「会いたいな……」




自分と同じようにクリスマスツリーの下にいた人たちは皆パートナーと一緒にどこかに行った。

これからイルミネーションを見に行くのか、食事に行くのか……

ちょっといいなって思ってしまった。

分かってる。あの人も忙しいのはよく知ってるから。

それでも無理して自分に会おうと時間を作ってくれてることも知ってる。

我儘はあまり言いたくない(その代り、学校では散々わがまま言わせてもらってるけどね)




「大好き……」

「それは直接言ってほしいな」

「っ……」




できるなら振り向きたくない。

だって、きっと顔が真っ赤だから。

こんなの自分らしくない。




「待たせた、な」




そんなことない。待ってたのは待ちたかったから。

少しでも早く会いたかったから。

けど、天の邪鬼だから素直に言えない。




「お誕生日おめでとう、リョーマ」

「……ありがと……」




そう言ってふわっと後ろから抱きしめられる。

うん、やっぱり振り向かなくて正解。

絶対に本人には言えないけど、こうやって抱きしめてもらうのが大好きだ。

温かくて……安心できるから。

絶対に行ってやらないけどね。




「Merry Christmas」

「ああ、Merry Christmas」



流暢な英語で言ってやれば、同じようにきれいな英語で返される。

そんな些細なことだけど、嬉しくて仕方がない。




「そろそろこっちを向いてくれないか?」

「笑わないでよ?」

「ん?」





――クル





「ふっ、顔が真っ赤だな」

「笑わないでって言ったのに!」




クスクスと笑われて、怒ったように突っかかる。




「じゃあ、行こうか」

「うん」




スッと出される手に、自分の手を重ねる。

自分とは違い、大きな手。

年齢の差だけじゃなくて、やっぱり自分とは違うのだと思い知らされる。

やっぱり悔しい。テニスでは対等になれるのに……

ちょっと悔しくてぎゅっと手を握れば、同じようにぎゅっと手を握り返された。



――まぁ、幸せだからいっか



アメリカにいた頃はこんな気持ち知らなかった。

大好きな人と一緒に入れるちょっとした時間でも幸せになれる。

そんな時間が続けばいいと思う。

だから、せっかくだからちょっと周りに絆されてみようか?

きっと部活のセンパイや同級生、後輩に聞かれればらしくないって笑われるかもしれないけど……




「ねぇ、来年も再来年も……こうやって一緒に過ごしてくれる?」







ほら、そうやって虚を突かれて驚いた後、嬉しそうに笑って当たり前だとその大きな手で頭を撫でてくれる。



――そんなあんたが大好きだよ……







End

〔あとがき〕


Happy Birthday♪ リョーマ!!

リョーマ視点で久しぶりの短編です♪


クリスマスイブとリョーマの誕生日!

夜は雨が降って、ホワイトクリスマスにはなりそうにないけど、リョーマが幸せになればいいと思います♪

(ちなみに、リョーマは女の子設定で、男子テニス部にいるイメージで作ってます♪♪)



リョーマのあの人は想像してください♪

ポイントは2年年上のセンパイ!

まぁ、イメージに浮かんだあの人の口調に近いですけど、2年上ならだれでもOK💕

残念ながら海堂や桃城は外れてしまいますけどね(笑)



旅人の皆さまも、すてきなクリスマスを大好きなあの人と過ごせますように……



一番はそういう思いを込めて、作っています。

本当は、リョーマの元にあの人がきて、リョーマが振り返って大好きなあの人と……
みたいな感じにしたかったのですが、文才がなくてできませんでした(泣)

あの人と一緒にすごせる幸せを書きたかったのにっ!!


まぁ、いつかそれが書けるように精進します!

ちなみに私は独り身ですので家族と普通の日を過ごしましたけど(笑)

クリスマスデートしてみたいですね(笑)



では改めて……



Merry Christmas♪



(2014年12月24日作成)

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