テニス短編
□電車
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朝は、特に電車に乗りたくない。
青学1年ルーキーはそんなことを思いながら、電車を待っていた。
珍しく祝日に、部活も休みになり、リョーマは少し遠出をすることにした。
ちょうど、親父の知り合いが近くにいるらしい。
(親父に言われて)会いに行くことにしたのだ。
―――近くには、設備の揃ったテニスコートもあるというし。
「(やっぱり止めといた方がよかったかな……)」
電車に乗ろうと待っている人たちを見て、すでに後悔し始めていた。
満員電車が嫌で、時間をずらしたにも関わらず、駅にはいまだ人ばかり。
しかし、これ以上ずらせば、テニスする時間が無くなってしまう。
リョーマは嫌々ながらも覚悟を決めると、満員車両の中でも一番開いている場所を選んで乗り込んだ。
出発するギリギリに乗り込んだためか、扉を背に乗れた。
体を半回転させて、扉の方を見る。
流れゆく景色を見ながら、早く目的地に着くことを願った。
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