『壊れてしまう前に…』 完結

□7.日本
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一週間は早かった。

明日にはもう日本に戻らないといけない。





「リョーマ、少し話しない?」

クリスに呼ばれて、少し離れた公園へと足を運んだ。

そこには、日本みたいにテニスコートがあった。






「"リョーマ、あなたの力はあんなものではないのでしょう?"」

「"……気づいてたんだ"」


噴水の側まで来た二人は、顔を合わせず、跳ねる水を見ていた。


「"なぜ……と聞いても?"」

「"約束だから。俺が日本でテニスをするための………"」


日本なら、そこまで有名じゃないから、人に囲まれることはない。

心の安定を保つためには有名になっては意味がないのだ。



……理由はそれだけじゃないけど。



「"……まだその時じゃない。もちろん、負けるつもりはないから、力を解放するときもあるけど……"」

「"そこまで力を出さずとも勝てる?"」

「"……うん……。すべてを封じた今の状態でも勝てることが多い。その代わり、すべて本気でやってるけどね……


 一時は、今の状態で本気になりすぎて、もう少しでテニス禁止を言い渡されるとこだった"」


笑いながらいえば、クリスも笑ってくれた。


しんみりは嫌い。同情も嫌い。


だから、クリスみたいに正面から受け止めてくれる人はうれしい。


「いつか本気のあなたと戦いたいわ」

「……いつか、ね」


握手を交わして部長たちの元に戻った。






久しぶりに心が柔らかな音を立てていた気がしたのは、きっと気のせいなんかじゃないだろう。




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