『壊れてしまう前に…』 完結
□1.出発
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「ずっと………あなたのことが好きでした!」
「……ごめんなさい」
一体、この言葉を使うのは何度目だろう。
この子はこの後どんな反応をするのか。
泣くのか、なぜと問い詰めてくるのか。
それとも、怒ってイラつくのか……。
別にどれでもいいけど、泣かれるのはいろいろと困る。
慰めなんてできないし、ヘンな噂立つし。
答えなんてわかりきってるくせに、挑戦してくる。
ほんと、何がしたいんだか………
「……もう少し、考えてくれてもいいんじゃない?」
「答えは決まってるから」
「……ひどい」
うん、初めての反応かも。
怒りながら泣いた人は、今回が初めてだ。
でも、これでパターンはほとんど見たかな?
あとはストーカーになるとか?
シャレになんないけど。まぁ、日本だし。大丈夫か。
まだ中学生だしね。
「他に、好きな人でもいるわけ?」
「別に。今はテニスが一番だから、そんなこと考えてる暇ないし。メンドクサイのキライなんだよね」
結局、こういう答えを返すことになる。
いい加減、疲れたんだけど。
「もういいよね?部活行きたいし」
「諦めないから、私」
「……勝手にすれば?……まぁ、一生ムリだろうけど」
そう言い残して、その場を離れた。
これ以上の会話はしたくない。
後ろで何か叫んでるのを聞き流して、スタスタとテニスコートを目指した。
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