『届かない真実』 完結

□16.目覚め
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「う……ん……」

「「リョーマ!?」」


話が終わって沈黙が続く中、身じろぎする音が聞こえ、全員が顔を上げた。


「…………ケーゴ?セーチ?」


起きたばかりの舌ったらずな言葉で名を呼ぶリョーマに、二人は顔を覗き込んだ。


「大丈夫か?」

「何か欲しいものはある?」

「…………ごめんなさい……ごめんなさい……」

「謝らなくていいよ。リョーマは何も悪くない」

「もう少し休め。明日と明後日は学校も休みだから、な?」


小さな子に言い聞かせるように跡部と幸村は、ゆっくりと話しかけた。

決して一人じゃないと……、傍にいると分かってもらうために。



「………傍に……いてくれる?」

「もちろん」

「お前が嫌だって言っても、傍にいてやる」

「……」


嬉しそうに笑うリョ―マに、二人はホッと肩をなで下ろした。

まだ、リョーマに自分たちの声は届いてる。

そのことに安心した。





「すぅーーー…………」


リョーマは目を閉じると、よっぽど疲れてたのか、すぐに夢の中へ。


「精市、リョーマについていてくれ。……俺は南次郎さんに連絡だけ入れてくる。



 ……リョーマは俺のところで寝てしまったから、休みの間だけ預かるってな」

「……南次郎さん、怒るんじゃない?」


そうか、と言いながら、きっと電話の向こうでは心配しながら凄い笑顔で、なおかつ青筋を立てているだろう。

あの人は、ひょうひょうとしているけど、リョーマのことになると、怒りっぽいから…………。


「……本当のこと言って、青学が潰されるよりマシだろ?」


あの人なら、一人で潰しそうだ。


「そうだね。僕たちも混ぜてもらわないと」


邪魔だと言って、追い出されそうだ。


「じゃあな」

そういって、跡部は部屋を出た。



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